2013 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における新規治療抵抗性遺伝子の探索とその阻害剤による治療法の開発
Project/Area Number |
24592023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60378023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
千賀 威 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80419431)
板津 慶太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90534842)
清水 泰博 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員(Researcher) (40470166)
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Keywords | 膵癌 / 治療抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
膵癌における治療抵抗性の遺伝子としてOIP5、TPX2、HJURPに関する検討を行なった。OIP5(Opa Interacting Protein 5)は、Cancer-testis Specific Geneとして知られており、OIP5を標的にしたsiRNAを膵癌細胞株KLM1、KP4、Panc1へ導入し、MTTアッセイによる増殖能、トリパンブルーテストによる細胞死誘導能、ボイデンチャンバー法による浸潤能について検討した。OIP5の抑制により増殖抑制能は認めたが、細胞死誘導能、浸潤能には有意差を認めなかった。TPX2はAURORA Aキナーゼとの関連が報告されており、TPX2を標的にしたsiRNAを膵癌細胞株KLM1、KP4、panc1導入し、増殖能、細胞死誘導能、浸潤能について検討した。TPX2の抑制により増殖能、細胞死誘導能、浸潤抑制能に有意な低下を認めた。HJURP (Holliday Junction Recognition Protein)に関してもHJURPを標的にしたsiRNAを合成し、膵癌細胞株KLM1、KP4、panc1導入し、増殖能、細胞死誘導能、浸潤能について検討した。増殖抑制能は認めたが、細胞死誘導能、浸潤能には有意差を認めなかった。HJURPの発現抑制した膵癌細胞株への抗癌剤CDDPの投与を行ない、その作用の増強を認めた。膵癌症例70例でのOIP5、TPX2、HJURPの発現に関してrealtimePCRによる臨床病理学的検討を行なった。OIP5、TPX2、HJURPは正常組織と比較して癌組織で有意に発現が亢進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OIP5、TPX2、HJURPの同定に時間がかかったが、siRNAの合成による増殖能、細胞死誘導能、浸潤能の検討が終了している。また抗癌剤との併用により作用の増強を確認している。シグナル伝達系の検討がまだ行なえていないことと阻害剤の開発が進んでいないことより、予定よりやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
OIP5、TPX2、HJURPについて相互マシンラーニング法によるスクリーニングを行ない、候補化合物を選択し、阻害剤を開発する。膵癌細胞株を用いて候補化合物の有効性を明らかにする。残存膵癌組織のパラフィンサンプルの免疫染色、凍結標本のreal time PCR、ウェスタンブロティングによりOIP5、TPX2、HJURPの発現を検討する。OIP5、TPX2と抗癌剤の併用時の作用増強または減弱など治療抵抗性に関する検討を行なう。HJURPに関してはCDDP以外の抗癌剤での効果への影響について検討する。OIP5、TPX2、HJURPをsiRNAで発現抑制した膵癌細胞株と抑制していない膵癌細胞株において、抗癌剤・阻害剤による遺伝子発現の差異を網羅的遺伝子解析にて検討する。またOIP5、TPX2、HJURPのシグナル伝達系を明らかにし、癌細胞における選択性、獲得性について検討する。マウス皮下発癌モデルの腫瘍へHJURPを標的にしたsiRNAを投与し、HJURPの発現を抑制し、同時に抗癌剤を投与し、平成26年度に膵癌細胞株において認められた効果について検討する。
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