2013 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞マーカーCD133に着目した胆道癌の抗癌剤耐性解明と新規治療への応用
Project/Area Number |
24592026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
味木 徹夫 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80379403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
具 英成 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40195615)
堀 裕一 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (80248004)
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Keywords | 胆道がん / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
胆道癌は他の消化器癌に比べ抗癌剤耐性例が多い。その理由として、癌幹細胞の関与を仮説とし研究を進めた。これまでは癌幹細胞マーカーCD133に着目して研究を行ってきた。これまでに悪性度の高い通常型の胆管細胞癌では約15%程度のCD133発現陽性細胞が認められるのに対し、悪性度の低い粘液産生胆管腫瘍(IPNB)ではCD133発現を全く認めないことを明らかとした(Hepatology Research 2012, 42, 574)。これは教室で見出した通常型膵癌ではCD133発現が一定の頻度で見られ、悪性度の低い粘液産生膵腫瘍(IPMN)ではCD133発現を認めないという知見と同様であった。これらの知見はCD133発現が癌の悪性度と関連していることを示唆した。また、IPNBからのcell line樹立に成功し、この株がCD133発現を認めないことを確認した(Anticancer Research 2014, 34, 2203)。 次に、化学療法と癌幹細胞の関係であるが、化学療法が著効し、化学療法後に切除を行った胆嚢癌症例では、CD133発現が80.9%と高率に陽性であった。これは、抗癌剤治療に伴いCD133発現陽性細胞が主に残存したことを示唆しており、抗癌剤耐性との関連が示唆された(癌と化学療法、2012, 40, 1744)。また、NOZを用いたヌードマウス胆のう癌モデルでは抗癌剤Gemcitabineが奏効するが、NOZではCD133発現がみられないことも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵癌で以前に成功したように、マウス間葉系のfeeder細胞であるPA6を用いて、胆道癌のprimary cultureを試みている。しかしながら、45回のトライアルでCD133が陽性である細胞の継代成功例はいまだ1例である。胆道癌では胆汁による細胞傷害環境や上皮の欠損を伴い、初代培養の困難さが指摘されている。様々な工夫を行っているが、CD133陽性胆道癌細胞株の樹立がかなり困難である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず胆道癌臨床検体でのCD133発現につき調べる。さらに、抗癌剤投与後の手術例での、切除検体でのCD133発現と抗癌剤効果の相関を検証する。また、術後補助化学療法を行っている症例では、CD133発現と抗癌剤術後補助投与の効果の検討を行う予定である。 また、CD133陽性胆道癌細胞株の樹立が困難であるため、既存の胆道癌細胞株を入手し、CD133の発現を解析し、抗癌剤耐性との関連を調べる予定である。さらにCD133陽性細胞株では、細胞間接着依存性にコロニー形成を行うことから、胆道癌細胞株での細胞間接着因子発現の関与も検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度細胞株樹立が十分に成功せず、実験が十分に進捗しなかった。 来年度は前述のように方向性を変えること、また研究生(大学院生)の在籍も見込まれ、実験の進捗と成果のまとめが予想される。
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