2012 Fiscal Year Research-status Report
胆管癌におけるポリコーム蛋白の発現意義とエピジェネティック治療への応用
Project/Area Number |
24592033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
近本 亮 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10419640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 弘尚 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40573621)
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EZH2 / ポリコーム蛋白 / 胆管癌 / 細胞周期 / アポトーシス |
Research Abstract |
【背景と目的】EZH2はポリコーム蛋白群の一つであり、種々の遺伝子発現を制御することにより癌の進展に関与することが知られているが、胆管癌における役割は明らかでない。本研究では、EZH2の胆管癌細胞株へ与える影響及び、ヒト肝内・肝外胆管癌における臨床的意義を明らかにすることを目的とした。 【対象と方法】胆管癌細胞株に対し、siRNAによりEZH2発現抑制を行い、1.増殖能、浸潤能に与える影響、2.細胞周期(PI)、アポトーシス(PI/AnnexinV)に与える影響および、3.EZH2のターゲット遺伝子の検索を行った。4. 1993年から2010年までに当科でR0切除を施行した肝内胆管癌 45例及び肝外胆管癌41例を対象とし、EZH2の発現と臨床病理学的因子、生存予後との関連を調べた。【結果】EZH2の発現抑制により、1. 細胞増殖能は低下したが、浸潤能には変化を認めなかった。EZH2 の発現抑制により2. G1 arrestおよびアポトーシス細胞の増加を認め、3. p16INK4A、p27KIP1の有意な発現上昇を認めた。4. ヒト肝内胆管癌症例において、EZH2髙発現群は腫瘍径>3.5cmと有意に相関し、低発現群と比較すると有意に累積生存率が不良であった(p=0.045)。ヒト肝外胆管癌症例においてEZH2高発現群はリンパ節転移陽性と有意に相関し(P=0.0469)、低発現群と比して優位に累積生存率が不良であった(P=0.0017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学院生の努力により順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ターゲット遺伝子の検索 胆管癌細胞株に対してEZH2発現抑制・過剰発現を行った細胞株よりRNAを抽出して、比較検討を行う。すでに文献的にターゲット遺伝子として候補に挙がっている遺伝子 (p16、p27、DAB2IP、BRCA1、SLIT2、CDK)に関しては、primer を作成し、泳動PCRにて発現変化を確認、比較検討を行う。さらなるターゲット遺伝子の網羅的な検索として、DNAマイクロアレイを用いた検討を行う。脱メチル化酵素である5AZAを用いて、5AZA処理前後の胆管癌細胞株に対してDNAマイクロアレイにて網羅的検索を行う。メチル化による発現抑制を受ける遺伝子を脱メチル化した場合の発現増加は実に16倍といわれており、5AZA処理前後で変化のあった遺伝子をターゲット候補としてピックアップする。更にその中でも遺伝子のプロモーター領域にCpG island を持つものを有力候補として挙げ、EZH2発現抑制・過剰発現を行った細胞株のRNAに対して泳動PCRもしくはreal time PCRを行い発現変化を確認する。ターゲット遺伝子を絞りこんだ後に、クロマチン免疫沈降(ChiP)にてEZH2により直接発現制御を受けている事を確認する。 2.In vivoにおける検討 shEZH2導入ウイルスベクターを用いて、EZH2 knock down安定細胞株を作成する。これをヌードマウスへ皮下注射することにより腫瘤形成能の評価を行う。また、形成された腫瘤の薄切標本を作製し免疫染色にてEZH2、標的遺伝子の発現状況の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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