2014 Fiscal Year Research-status Report
急性胆管炎診療における血清プロカルシトニン濃度測定の有用性の検討
Project/Area Number |
24592038
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
三浦 文彦 帝京大学, 医学部, 准教授 (00344995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 圭二 帝京大学, 医学部, 教授 (00334392)
天野 穂高 帝京大学, 医学部, 准教授 (70261899)
豊田 真之 帝京大学, 医学部, 講師 (00317687)
和田 慶太 帝京大学, 医学部, 講師 (80349307)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 急性胆管炎 / バイオマーカー / プロカルシトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
急性胆管炎は、敗血症を伴うことが多く、急速に病状が悪化し致死的となることがあるため、迅速かつ適切な診断・治療が求められる疾患である。研究代表者らは、急性胆管炎・胆嚢炎の国際版診療ガイドラインであるTokyo guidelines(以下、TG)を作成し、急性胆管炎の診断基準、重症度判定基準を提唱したが、急性胆管炎の診断基準における炎症の有無の判定、重症度判定については、高いレベルのエビデンスが乏しく、ガイドラインの改訂における重要な課題となっている。プロカルシトニン(以下、PCT)はカルシトニンの前駆蛋白として甲状腺のC細胞において生成されるが、近年、新しい信頼性の高い細菌感染症のバイオマーカーとして注目されている。そこで、急性胆管炎の診断と重症度判定における血清PCTの有用性を明らかにすることを目的として本研究に着手した。 平成26年度までは、主として症例の集積とデータベースの作成に主眼を置いた。対象は、総胆管結石、膵胆道悪性腫瘍、良性胆管狭窄により胆汁うっ帯を呈し、インフォームドコンセントが得られた患者とした。これまでに52例の症例が登録された。介入を伴わない前向き観察研究として行い、治療前後の血清PCT濃度を含めた血液検査データ、臨床所見をデータベースに入力した。急性胆管炎の診断におけるPCTの有用性の有無については解析を進めているが、重症例が少ないため重症度判定については今後の課題とすることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに登録された52例において、急性胆管炎の診断における血清PCT値の有用性について仮解析を行った。急性胆管炎診断のgold standardを、「1)胆汁培養が陽性であること、または、2)他の感染症が除外でき胆管ドレナージによって改善を示す」として、PCT高値(>施設基準)の診断能を発熱、WBC上昇、CRP高値と比較した。 急性胆管診断の感度については、PCTが最も良好だったが、特異度は最低だった。PCTは、胆汁培養の陽性の感受性が最も良好で、感染の早期診断に有用な可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の集積、データベースの作成と並行して、急性胆管炎の診断における血清PCTの有用性についてデータ解析を進める。仮解析でPCTの特異度が低かったこと原因としてcut-off値の設定に問題がある可能性があるので、ROC解析を行い血清PCTのcut-off値について検討を加える。現在までの結果を国内学会で発表予定であり、論文執筆に精力的に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者らは、急性胆管炎の診断と重症度判定における血清プロカルシトニン(PCT)濃度測定の有用性を明らかにするためにこの研究に着手した。症例集積が十分に進まなかったため、26年度までに終了予定だった統計解析、学会発表、論文作成の段階まで進捗しなかったため、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度はさらに症例集積を継続しつつ、データ解析、学会発表、および論文作成まで進める予定である。データ解析に関しては、書籍、統計ソフト、および十分な性能を有するパソコンなどの購入を予定している。学会発表については、英文校正費と旅費への使用を予定している。論文作成に当たっては、書籍の購入、文献管理ソフト、英文校正費などへの使用を予定している。
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