2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592040
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
島津 元秀 東京医科大学, 医学部, 教授 (70124948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂村 眞琴 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (10201584)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任准教授 (30458963)
糸井 隆夫 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60338796)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 唾液診断 / 膵癌 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
東京医科大学八王子医療センター、東京医科大学、杏林大学医学部、山梨大学医学部で研究班を組織し、低侵襲に収集できる唾液を用いたメタボローム解析を行い膵癌のスクリーニング用マーカーの探索を行った。健常者(10例)、慢性膵炎(12例)、膵癌(45症例、StageⅠ:1例、Ⅱ:4例、Ⅲ:7例、Ⅳa:15例、Ⅳb:18例)の唾液中代謝物をCE-TOFMSを用い網羅的に解析を行った。同一患者から血清も採取し、同様にメタボローム解析を実施した。さらに、膵癌切除症例11例の唾液も採取し術前後の変化を比較した。CE-TOFMSにより唾液中の288代謝物の同定・定量が可能であった。膵癌症例の唾液中で健常者に比し顕著に濃度が上昇する代謝物が存在した。主成分分析したところ、健常者と膵癌では主成分で有意差が得られた(P=0.0111)。複数の代謝物を組み合わせたロジスティック回帰分析で、ROC曲線以下の面積が0.87(唾液)と0.89(血清)の精度で膵癌症例を健常者と慢性膵炎から見分けることが可能であった。同定されたマーカー用の代謝物質からポリアミンの一物質に着目した。膵癌切除症例における代謝物Yの濃度は、術前5.37±9.27μM、術後1.54±1.89μMで、11例中8例で低下、2例で上昇、1例は術前・術後も検出されなかった。唾液中から膵癌に特徴的なバイオマーカーを同定した。症例を増やし感度と特異度を引き続き検証している。唾液バイオマーカーのポリアミンは血清のメタボローム解析から得られた代謝物のバイオマーカーとは全く異なる物質であった。ポリアミンは細胞増殖に関わる回路で産生される物質であり、このことから細胞増殖が亢進した癌細胞から排出された物と推察される。癌細胞を代謝から理解しようとする研究も活発化しており、代謝に関わる物質の制御が癌治療法の開発につながる可能性もある。
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Research Products
(3 results)