2013 Fiscal Year Research-status Report
胆道癌幹細胞を標的とした癌ペプチドワクチン療法の開発
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24592041
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
有賀 淳 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40221056)
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Keywords | 胆道癌 / ペプチドワクチン / 癌幹細胞 / 癌抗原 / 免疫療法 / 癌ワクチン |
Research Abstract |
胆道癌は早期発見が困難であり、有効な抗癌剤も少なく、極めて予後不良な疾患と考えられる。近年、新しい癌治療法として癌特異抗原を標的とした癌治療ワクチンの臨床開発が進められている。その中でも癌特異抗原のアミノ酸配列を基に合成したペプチドワクチンが多数開発され、我々も胆道癌に対するペプチドワクチンの臨床試験を実施してきたが、最新の癌研究成果からの知見では、癌治療において真の治療効果を得るためには癌幹細胞を標的とした治療が重要であることが示されてきた。そこで我々は胆道癌幹細胞に高発現する癌抗原を同定し、胆道癌幹細胞に対するペプチドワクチンの開発を目指して本研究を開始した。平成25年度ではヒト胆道癌細胞株IsCC及びNaCCからそれぞれ癌幹細胞分画の分離を試み、癌幹細胞と癌非幹細胞分画における癌抗原の発現の差異を比較解析した。癌幹細胞の分離には、癌幹細胞特異的分子とされるCD13, CD24, CD44, CD90, CD133, CD166, CD326分子等に対するマイクロビーズ結合抗体を用いて、磁気を利用した細胞分離を行った。IsCC及びNaCC細胞株から分離された癌幹細胞特異分子陽性分画と陰性分画の各細胞集団からtotal RNAを抽出し、cDNAを作成して、胆道癌特異抗原とされるLY6K, IMP3, TTK, DEPDC1, CDH3, CDCA1, KIF20A, FOXM1, MELK, HJURP, WT1, GPC3, MUC1のmRNAの発現をrealtime PCRにて比較解析した結果、癌幹細胞分画で発現が強い抗原、癌幹細胞分画で発現が弱い抗原、癌幹細胞分画と非幹細胞分画での発現が同等の抗原に分類された。この結果より、胆道癌幹細胞に特に発現の強い癌抗原の存在が確認され、胆道癌幹細胞を標的としたペプチドワクチンの開発の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画した研究内容にほぼ沿って、研究が実施された。胆道癌細胞株2種より癌幹細胞特異分子の発現により癌幹細胞分画と非幹細胞分画を分類して、胆道癌抗原のmRNA発現をreal time PCRで解析し、癌幹細胞で強く発現を認める癌抗原が確認された。これより胆道癌幹細胞を標的としたペプチドワクチンの開発研究が、予定通りに順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究がほぼ計画通りに順調に進んでおり、引き続き平成26年度の計画にそって研究を遂行する。胆道癌幹細胞に強く発現を認める癌抗原のアミノ酸配列をもとにHLA-A2402及びA0201に結合するシーケンスをBIMASにて解析を進めており、その結果よりペプチドワクチン候補を決定する。人工的にペプチドを合成し、ヒト抗原提示細胞にパルスして、胆道癌幹細胞と非幹細胞に対する免疫応答をELISPOTにて解析する。また、胆道癌細胞株に初期化遺伝子を導入して胆道癌特異抗原の発現の変化を解析して、胆道癌幹細胞での発現と比較解析する研究も計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究はほぼ予定通りに進んだが、癌幹細胞特異抗原からのHLA拘束性シーケンス解析に時間を要しており、費用の発生するELISPOT等の免疫応答解析が平成26年度に実施となったため、その分の予算を平成26年度に使用することとなった。 平成26年度の研究内容にそって研究を進めるが、特に予算の発生するELISPOT等の免疫応答検査を実施するために平成25年度分の予算を併せて使用する予定である。
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