2013 Fiscal Year Research-status Report
末梢動脈送血法の数理生物学的解析による理論体系の構築
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24592044
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
福田 和歌子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90598715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 幾夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50344594)
大徳 和之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50374822)
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Keywords | 体外循環 / 送血法 / 大動脈粥状硬化 / 胸部大動脈瘤 / 脳塞栓 |
Research Abstract |
体外循環を用いた心臓大血管手術において,送血管からの血流が血管内の粥状硬化病変を破壊し,塞栓症を引き起こすことを報告してきた.本研究では,大腿動脈からの逆行性送血が動脈壁に与える影響を明らかにすることを目的とする.大腿動脈送血において送血管の太さ,人工血管を縫着した場合などで血流が直接流入する腸骨動脈および大動脈における血流速度,壁にかかるせん断応力をコンピュータ上で検討する.動脈硬化モデルとして腸骨動脈の蛇行と不整が著しい高齢者,腹部大動脈瘤合併例,胸部大動脈瘤合併例の患者CTから3次元大動脈-大腿動脈モデルを作成し,コンピュータ上で各部位の血流ベクトルの方向、剪断応力、血流速度を計測する.モデルの作成には,3次元立体構築ソフトMimicsを使用する.血流量は,通常の体外循環に準じた2.4l/min/m2とし,腹部分枝および弓部分枝の血流量分布は,従来の報告データを用いて割り振る.大動脈および腸骨動脈表面をメッシュで細かく細分し,流体解析ソフトを用いて解析する.腸骨動脈におけるせん断応力および血流速度の大きさの分布を計測から,腸骨動脈の形態や太さによるアテローム性粥腫の剥離の危険性を計算する.これにより,どのような形態で大腿動脈送血が危険であるかを明らかにする.大動脈内の流線に注目し,腸骨動脈から逆行性に噴出した血液の流れがどの動脈分枝に流入しやすいかを検討し,脳血管への塞栓の危険率を理論的に推定する.以上のような検討により,大腿動脈からの逆行性送血がどのような例で安全か,リスクの高い症例はどのような例かを明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは、弘前大学大学院理工学研究科のコンピューターを用いて、共同研究をすすめ、本研究費で購入した立体構築ソフトウェアを用いて、若年者および高齢者の大動脈モデルを再現した。Computational flow dynamics softwareを利用して、体外循環における大腿動脈からの送血をコンピューター上に再現し、大動脈および腸骨動脈内の血流速度と剪断応力の分布を検討した。また、送血法を大腿動脈に直接細い送血管を挿入した場合と、人工血管を吻合した場合で比較し、腸骨動脈内の血流パターンが大きく異なることを見いだした。上記の結果の概要は23rd Congress of the World Society of CardioThoracic Surgeons (2013.9.12 Split, Croatia)で招請講演として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果を本年度さらに詳細に検討し、国内外の学会で発表する予定にしている。本年秋の欧州胸部心臓血管外科学会および来年2月に開催される第45回日本心臓血管外科学会学術総会に発表予定である。さらにモデルの数を増やして、血流パターンを検討し、統計的な解析を行い、論文として投稿予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マテリアライズが医用画像処理のために開発した専用ソフトウェア(mimics)を継続し使用するために次年度に繰越をした。 mimicsソフトウェア更新手続きに使用する。
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Research Products
(6 results)