2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規のレーザー衝撃波液体ジェットメスの心臓血管外科領域への応用開発
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24592049
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川本 俊輔 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20400244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 助教 (10447162)
本吉 直孝 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (40375093)
齋木 佳克 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50372298)
中野 徹 東北大学, 大学病院, 助教 (50451571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 / 心臓血管外科学 / パルスジェットメス / 冠動脈バイパス術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「新規のレーザー衝撃波液体ジェットメスの心臓血管外科領域への応用開発」であり、なかでも冠動脈バイパス術におけるバイパスグラフトのより安全・確実な採取・露出を目指したものである。これに基づき、平成24年度、25年度中にはブタを使用して実際に内胸動脈の剥離、心筋内走行の冠動脈の露出手技を行った。これにより、実際の使用にあたっての感触を得ることができた。 平成26年度はこれらの実験から得られた試料やデータをもとに、ジェットメスの有用性について客観的に評価・検討を進めるために、データの解析・比較を行った。具体的には、実際に剥離した内胸動脈・冠動脈・各々の周囲組織の破断強度の平均を求め、比較した。内胸動脈と周囲組織の破断強度は7.8:1.8(P=0.02)、冠動脈と周囲心筋のそれは12.1:0.8(P<0.001)と有意な差が確認できた。このデータ自体は現在まで他機関にて測定・評価されてこなかったものと思われる。これにより、機械的エネルギーのみによって切離を行うジェットメスの組織選択的な剥離能力の根拠が得られた。また、入力電圧によるジェット出力の確認や、ジェットの組織深達度の確認も行い、理論的な裏付けが強化された。剥離した内胸動脈、露出した冠動脈は組織評価を行い、他のデバイスとの比較を行い、熱損傷なく手技が遂行できていることを確認した。 これらの結果をまとめ、現在雑誌掲載にむけて論文を作成している段階であり、また学会にて発表する準備をしている。まだ臨床応用に踏み出す段階には至っていないものの、冠動脈バイパス術におけるグラフト処理に対する改善・飛躍につながるものと考える。
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Remarks |
ジェットメスによる心筋内走行の冠動脈の露出に関しては、ブタの心臓における条件設定に限界があり、十分な数での検討が行われていない側面がある。今後、必要に応じて、冠動脈固定用のデバイス等の準備も図りながら、更なる検証を行っていきたいと考えている。
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