2015 Fiscal Year Annual Research Report
小児人工心肺の安全性向上のための膜型人工肺における潅流障害に関する研究
Project/Area Number |
24592053
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鈴木 章司 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (30235949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 重亜喜 山梨大学, 総合研究部, 助教 (10422693) [Withdrawn]
松本 雅彦 山梨大学, 総合研究部, 教授 (30372501) [Withdrawn]
榊原 賢士 山梨大学, 総合研究部, 助教 (40419338) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児用人工心肺 / 潅流障害 / 充填液アルカリ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工心肺回路充填液の種類と充填液のpH変化: 人工心肺の無輸血プライミング操作を想定した再循環で、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、人工腎臓用補充液のpH値上昇が認められた。血液凝集の危険域pH 8.0への平均到達時間は8~58分であった。ガス吹送の影響: ガス吹送時にはpH上昇は著しく加速され、最短で6分で危険域に到達し、安全許容域は数分以内と判明した。酸性添加薬の影響: pH 6.30のD-マンニトールを添加した場合においても、安全域の拡大効果はなかった。人工肺の種類: 6種の小型膜型人工肺(CX-FX05RW、HPO-06H-C、JK-JMOXIAIC06、D100-50534、ME62050061、BIOCUBEC2000)全てにおいて、再循環による充填液pH上昇が認められた。アルカリ化充填液とヘパリン化全血の接触: 健常成人ボランティアからのヘパリン化全血を加え、CDI500でpHを、人工肺前後のCARDIA PRESSで回路内圧を測定した。その結果、人工肺差圧の有意変化には至らなかったが、人工肺内に線状付着物が認められ、何らかの血液凝集機転が示唆された。 以上より、現在臨床で用いられている小児用人工心肺システムでは、充填液や人工肺の種類に係わらず、プライミング時の再循環のみで充填液がアルカリ化し、体外循環開始直後に赤血球凝集をきたす危険があることが明らかとなった。回路内圧モニター等にはコストがかかるが、潅流障害の検出に有用であり、安全面の再検討が不可欠である。この機序による血液凝集は潅流障害の1因にすぎず、他の条件が複合的に作用している可能性もあり、T-TASの手法などを応用したin vitroでの発展的研究を検討中である。
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