2012 Fiscal Year Research-status Report
肺動脈弁閉鎖不全による右心室機能低下の可逆性に関する研究
Project/Area Number |
24592059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中田 朋宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00559685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40281092)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心臓大血管外科学 / 肺動脈弁閉鎖不全 / 右心不全 |
Research Abstract |
2012年度は肺動脈弁逆流・右室拡大のイヌモデルを作成する方法を確立するよう努めた。これまで、人工血管を用いて右室‐肺動脈バイパスを置く方法、肺動脈基部外側から運針して肺動脈弁を肺動脈壁に縫着する方法、肺動脈基部に回収可能なステントを留置する方法の3通りの方法で肺動脈弁逆流モデルを作り、右室拡大の様子を観察した。右室‐肺動脈バイパスによる方法、肺動脈弁を縫着する方法においては、肺動脈弁逆流と右室拡大を起こすことができたが、いずれの方法も修復手術によって肺動脈弁逆流を止めるに至っていない。しかし、肺動脈弁を縫着する方法を用いたモデルのうち1例で初回手術から2週間後に修復手術を行ったところ、肺動脈弁逆流が減少し、右室径・右室容量の減少を認めたため、現在、同じ方法で新たなモデルを作成し、再現性の確認をしている。 右室容量および心機能の評価方法については、諸事情により、MRIを用いることができない状況である。そのため、現在は心エコー、カテーテル検査、病理組織学的手法および生化学的アプローチによりそれらを評価することを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度中に動物(イヌ)モデル作成の方法を確立する予定であったが、肺動脈弁逆流を起こすモデルを作成することには成功したが、一定期間の後、修復手術を行い、弁逆流を止めることには成功していない。1例だけ弁逆流を減少させ、右室機能の改善につながったものがあるが、モデル作成方法の確立までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルの作成方法を早急に確立できるよう、モデル作成を続け、再現性を確認する。それができたら、次は肺動脈弁逆流を改善させた後の右室機能を観察し、改善するとき、または改善しないときの生理学的、病理組織学的および生化学的な条件の違いを検討する。具体的には、心エコーによる右左室のサイズ計測および収縮能の評価、初回手術前、修復手術前および全観察期間終了時の右室心筋と左室心筋を採取し、病理組織標本を作製、また、採取した心筋の一部は生化学的解析に回し、その上で、右室機能障害の可逆性を反映する病理組織学的および生化学的マーカーを究明する。病理組織学的解析および生化学的解析の詳細は以下のとおりである。 病理組織学的検討 ①HE染色による心筋細胞径、②Masson Trichrome染色による組織繊維化、③TUNEL染色による心筋細胞アポトーシス 分子生物学的検討 心筋組織よりm-RNAを抽出し、RT-PCRによって以下の発現を検討する ①心不全関連蛋白の発現: BNP, SERCA-2a, Phospholamban、②心筋肥大、繊維化関連蛋白の発現: Chymase, ACE、③アポトーシス関連蛋白の発現: bcl-2, Caspase
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主なものは、実験用動物の購入費であり、トーヨービーグル(1頭10万円)を10頭購入予定である。また、その他、実験用医薬品、医療材料(カテーテルや縫合糸)の購入および生化学的分析のための試薬やプローベの購入を予定している。
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