2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白川 幸俊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (20457013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 和男 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10507205)
鳥飼 慶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70364792)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / microRNA |
Research Abstract |
本研究は、大動脈解離におけるmiRNAの役割をin vivo及びin vitroで解明するとともに、臨床応用可能な新たなる大動脈解離病態バイオマーカーの開発を目的とする。これまでに、急性大動脈解離にて緊急手術を行った5例の解離大動脈組織と術前後の血清、急性大動脈解離にて保存的加療を行った9例の血清、ならびに正常人5例の血清、大動脈疾患を有さない心臓移植症例の大動脈を採取、冷凍保存した。まず、解離大動脈組織および心移植症例の正常大動脈組織より切片を作成し、組織学的に検討したところ、解離大動脈組織には、正常大動脈に比し炎症細胞の浸潤、線維芽細胞の集積と活性化が見られた。同部よりRNAを抽出し、解離大動脈壁特異的に発現するmicroRNAをMicro RNA arrayを用いて網羅的に探索し、正常組織より2倍以上発現していたmicroRNAにつきReal-time PCRにて定量的に検討した。現在、これらmicroRNAの発現と、組織学的変化、予後などとの相関を検討中である。続いて血清よりRNAを抽出し、上記検討にて大動脈解離特異的に発現していると考えられたmicroRNAにつき、Real-time PCR法にて血清中での経時的変化、群間の差を定量化した。現在、正常対照と対比させながら検討中である。これらの結果を本年度に専門学術集会にて発表する予定である。 また、イヌ大動脈解離モデルの作成に取りかかっている。HBD犬雌5匹に対して、全身麻酔下に後腹膜を切開することで、腹部大動脈から下行大動脈を露出し、放射線ガイド下にワイヤー操作を行う手技を行ったところ、全匹生存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度前半に行う予定であった、「大動脈解離で特異的に高発現しているmiRNAの機能解析」については、予定していた以上の症例数を蓄積し、予定通りの解析を行うことが出来た。結果、大動脈解離特異的に発現するmiRNA候補を同定することに成功した。今後、専門学術集会にて発表し検討を重ねる予定である。平成24年度後半に行う予定であった、「target miRNAの大動脈解離に関する基礎的研究」については、ノックアウトマウスの作成に時間を要しており、研究計画が遅れているのが現状である。しかしながら、平成25年度の行う予定であった、「大動脈解離モデルイヌを用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicsの有効性の検討」を既に着手している。HBD犬の全身麻酔、大動脈の露出、ワイヤー操作、手術からの回復に成功しており、アンチセンスオリゴヌクレオチドやmiRNA mimicsが作成次第、検討に移れる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
「大動脈解離で特異的に高発現しているmiRNAの機能解析」については、これまでの研究成果を専門学術集会にて発表し検討を重ねた上で、専門学術雑誌に投稿することとする。「target miRNAの大動脈解離に関する基礎的研究」については、1)臨床検体のみで、大動脈解離に特異的に発現するmiRNAの生物学的意義を検討できる可能性が高くなってきた。2)ノックアウトマウスの作成にかかる時間と費用が膨大であり、それに見合う研究成果を挙げることが困難であると考えられることから、これまでに得られた臨床検体を、microdissection法、digital PCRなどを用いて徹底的に検証することで、代用する方向で考えている。「大動脈解離モデルイヌを用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicsの有効性の検討」については、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicを作成し、イヌモデルに投与することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大動脈解離検体の組織学的、分子生物学的検討に必要な試薬(抗体、PCR primerなど)に研究費を使用したいと考えている。また、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicを作成するための試薬、これらを精製するための高速液体クロマトグラフィーに必要な試薬に研究費を使用したいと考えている。また、研究成果を発表するための旅費に研究費を使用したいと考えている。
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