2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592062
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白川 幸俊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (20457013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 和男 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10507205)
鳥飼 慶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70364792)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
|
Keywords | 大動脈解離 / miRNA |
Research Abstract |
これまでに、急性大動脈解離にて緊急手術を行った10例の解離大動脈組織と術前後の血清、急性大動脈解離にて保存的加療を行った10例の血清、ならびに正常人10例の血清、大動脈疾患を有さない心臓移植症例の大動脈を5例採取、冷凍保存した。また、解離発症からの時期によるmiRNAの相違の検討をするために、慢性期解離大動脈組織を5例採取し、検討に加えた。まず、解離大動脈組織および心移植症例の正常大動脈組織より切片を作成し、組織学的に検討したところ、解離大動脈組織には、正常大動脈に比し炎症細胞の浸潤、線維芽細胞の集積と活性化が見られた。また、慢性期解離大動脈組織は急性期の組織に比し、壁の肥厚を認めており、増生した壁は線維化が高度で細胞密度が低かった。組織よりRNAを抽出し、解離大動脈壁特異的に発現するmicroRNAをMicro RNA arrayを用いて網羅的に探索した。結果、急性期vs慢性期でmiR-10a, 21, 25等、急性期 vs 正常大動脈でmiR-9, 10b, 18a, 18b等、 慢性期 vs 正常大動脈でmiR-10b, 18a, 21, 31等のmiRNAに2倍以上の相違を認めた。近年、これらmicroRNAの役割が徐々に判明しているため、発現と、組織学的変化、予後などとの相関を検討中である。続いて、血清よりRNAを抽出し、上記検討にて大動脈解離特異的に発現していると考えられたmicroRNAにつき、Real-time PCR法にて血清中での経時的変化、群間の差を定量化した。 また、イヌ大動脈解離モデルの作成に取りかかっている。HBD犬雌10匹に対して、全身麻酔下に後腹膜を切開することで、腹部大動脈から下行大動脈を露出し、放射線ガイド下にワイヤー操作を行う手技を行ったところ、全匹生存した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24から25年度にかけて行う予定であった、「大動脈解離で特異的に高発現しているmiRNAの機能解析」については、徐々に症例数を蓄積し、予定通りの解析を行うことが出来ている。結果、大動脈解離特異的に発現するmiRNA候補を同定することに成功した。今後、専門学術集会にて発表し検討を重ねる予定である。平成24年度後半に行う予定であった、「target miRNAの大動脈解離に関する基礎的研究」については、前年度の報告書にも記載した通り、ノックアウトマウスの作成が非常に困難であったため、前年度の報告書で述べた通り、臨床検体の免疫染色像、タンパク解析を用いてmiRNAとの相関性を解析中である。また、microdissection法、digital PCR等は施行したものの、有意な結果は得られなかった。平成25年度に行う予定であった、「大動脈解離モデルイヌを用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicsの有効性の検討」に関してはHBD犬の全身麻酔、大動脈の露出、ワイヤー操作、手術からの回復、大動脈解離の状態の評価に成功しているものの、アンチセンスオリゴヌクレオチドやmiRNA mimicsを使用した検討をどのmiRNAに対して行うかなどに関しては予算の関係上、絞り込む必要があり、今後も検討が必要と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
「大動脈解離で特異的に高発現しているmiRNAの機能解析」については、これまでの研究成果を専門学術集会にて発表し検討を重ねた上で、専門学術雑誌に投稿予定としている。「target miRNAの大動脈解離に関する基礎的研究」については、ノックアウトマウスの作成が困難であったため、臨床検体のみで検討する予定としているが、免疫染色像、タンパク解析と比較し、それらとの相関性(TGF-β,MMP, TIMP, Apotosis, Fibrosis etc.)を検討していく予定としている。「大動脈解離モデルイヌを用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicsの有効性の検討」については、ターゲットとするmiRNAを絞り込んだ上で、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicを作成し、イヌモデルに投与することとする方針としている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ターゲットmiRNAを複数個検討するとすると、それらのアンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicを作成するための試薬、これらを精製するための高速液体クロマトグラフィーに必要な試薬がその分必要になるため、次年度予算が生じた 大動脈解離検体の組織学的、分子生物学的検討に必要な試薬(抗体、PCR primerなど)に研究費を使用したいと考えている。また、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicを作成するための試薬、これらを精製するための高速液体クロマトグラフィーに必要な試薬に研究費を使用したいと考えている。
|