2014 Fiscal Year Research-status Report
VerifyNowを用いた血小板機能からみた術前抗血小板剤中止のタイミング
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24592077
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
種本 和雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90330547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗血小板剤 / VerifyNowシステム / クロピドグレル / 術前血小板機能 / 術後出血量 / 心臓手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種抗血小板剤投与を受けている患者が、外科手術を受ける場合に薬剤を中止するタイミングについて明らかに示されたものは本邦ではまだない。従来の比濁法は操作が煩雑で検査時間も長く、データの安定性などの問題点があり、臨床応用には至っていない。近年、迅速で簡便かつ正確な血小板機能測定装置VerifyNowシステムが普及しており、Aspirin Reaction Units(ARU)またはP2Y12 Reaction Units(PRU)を測定することにより抗血小板薬内服中のモニタリングが可能となった。本研究はVerifyNowシステムを用いて、術前薬剤中止後の血小板機能回復曲線を示し、至適術前中止時期を明らかにし、また術直前の血小板機能と術後出血量の関係を検討することを目的に行うものである。 平成26年度は新たにクロピドグレルを術前に中止可能であった患者13例を加え、VerifyNowシステムP2Y12キットを用いて最終内服日から手術当日までのPRU値を経時的に測定し、血小板機能回復経過から至適中止時期を検討した。結果としてクロピドグレル休薬後に約3日でPRU値がcut off値(PRU230)を上回り、血小板凝集能が回復していることが示された。また、休薬から手術まで血栓形成等による合併症は認められなかった。 さらに心臓待機手術症例における術直前の血小板機能と術後出血の関連性を調べる研究では、新規に大動脈弁置換術(AVR)12例、僧帽弁形成術(MVP)4例、心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)5例を追加して検討を行った。いずれの術式もARU値と出血量は軽度の逆相関を認め、AVRおよびMVPにおいては有意差を認めた(AVR:r=0.044、p=0.7638、MVP:r=-0.194、p=0.0851)。 本邦における抗血小板薬の術前休薬期間は短縮可能であり、VerifyNowシステムによる術前血小板機能評価により術後出血量を予測できる可能性があると考えられた。今年度計画していた術前中止時期の術前管理導入までは至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は術前中中止時期の検討において新たに13例を加え、術前血小板機能と術後出血料の関連性の検討においては大動脈弁置換術(AVR)12例、僧帽弁形成術(MVP)4例、心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)5例を追加できたので平成24年度からの症例集積に関しては十分と言えるが、26年度の実施計画にあった術前中止時期の術前管理導入およびその結果の出血量、心血管イベントの発生などから中止時期の基準としての安全性確認には至ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた術前中止時期から、日本人におけるクロピドグレル術前中止基準を書き換える方向で進むべきである。本年度は、さらに可能な限り術前クロピドグレル中止症例を増やして、日本人でも術前5日の中止で手術に進むことが問題ないことを示し、それを論文によって発表して、ガイドライン、添付文書の書き換えに向けて準備を進める。
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Causes of Carryover |
予定した期間内に対象となる症例が少なく、対象症例の登録状況が少し不足している。そのため、1年延長して必要な症例の収集に努めたいため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に血小板機能測定のためのキット購入費用および成果発表のための旅費として使用する予定である。
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