2014 Fiscal Year Research-status Report
癌の蛍光診断を応用した新たな体内リンパ節と体内深部の転移病巣診断法の開発
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24592079
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
北田 正博 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (60332483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹嶋 唯博 旭川医科大学, 医学部, 名誉教授 (20109515)
大崎 能伸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30191935)
林 諭史 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10463754)
松田 佳也 旭川医科大学, 医学部, 助教 (50598456)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自家蛍光 / 光学的診断 / 胸膜悪性腫瘍 / 悪性胸膜中皮腫 / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌術後胸腔内再発の一因と考えられる微小播腫性病変や早期の悪性胸膜中皮腫に対する精度の高い評価、診断法が希求されている。本研究は、自家蛍光に着目し、新たな光線力学的診断法の研究を行った。自家蛍光とは、細胞内のミトコンドリアやリソソームなどが光を吸収した際に起こる光の自然放出であり、人体組織における自家蛍光発生源は、nicotinamide-adenine dinucleotide phosphate(NADPH), flavin-adenine dinucleotide(FAD)の他、collagen、Fibronectin等が報告されている。正常組織では、400~450nmの青色励起光に反応して、520nm程度の緑色の自家蛍光が観察されるが、癌病変部位では、粘膜上皮の肥厚、自家蛍光物質の減少、蛍光吸収物質の増加などにより、緑色の自家蛍光が減弱し、蛍光色調の変化を認める。この蛍光の減弱や波長の変化を画像化して観察するのが自家蛍光観察システムの原理である。本研究は、胸腔鏡(硬性鏡)に自家蛍光観察システムを装着した機器により、胸腔内悪性病変に対する診断法の確立を目的とした。胸腔鏡を使用する呼吸器外科手術症例のうち、同意を頂いた症例に対し,自家蛍光観察システムによる胸腔内の観察を行った。。その結果、描出状態:白色光では色調の変化が不明瞭、視困難な病変部でも、自家蛍光観察カメラ上、腫瘍部位は、周囲正常組織の緑色自家蛍光と対比して紫~赤紫の色調が描出された。胸膜悪性病変に対する低侵襲な光学的診断法は有効であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自家蛍光による胸膜悪性疾患の観察結果、1)描出状態:腫瘍部分において、白色光では色調の変化が不明瞭な病変部でも、周囲正常組織の緑色自家蛍光と対比して紫~赤紫の色調が描出された。2)各病変の描出状況:胸膜面に存在する転移性肺腫瘍は全例色調の変化が観察可能であった。また、壁側胸膜面では、播種性病変や悪性胸膜中皮腫の場合は観察可能であった。肺癌症例のうち、pl以上の症例では、自家蛍光の減弱による色調の変化が観察可能であった。組織型、悪性度(Grade)による差は認めなかった。リンパ節転移に対する診断は、胸部リンパ節が炭化、黒色調であることより診断が困難であった。以上の内容を論文発表した。(Kitada M, Ohsaki Y, et al. Photodynamic diagnoses of malignant pleural diseases using the autofluorescence imaging system.Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2014;20(5):378-82.)
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の自家蛍光の観察による光学的診断には、病変部位の境界、性状の判断にやや限界がある事も事実である。そこで、光増感物質であるアミノレブリン酸(5ALA)に注目している。体外より摂取した5ALAは細胞内のミトコンドリアでヘムの前駆体であるProtoporphyrin IXに代謝され、悪性細胞内に留まるため、630nm程度の赤色~ピンク色の光を発する。5ALAを術前に経口させ、その後手術時に本システムを用いた悪性病変の観察を行い、周囲の自家蛍光とのコントラストにより、診断精度を向上させるための研究を開始し、H27年度科学研究費基盤研究C(光線力学的手法を応用した胸部悪性病変とリンパ節転移に対する新たな診断法の開発)に採用いただいた。
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Causes of Carryover |
H26年度の出費に関しまして、交通費、論文作成費は、他の研究費より支出した為残額が出てしまい、H27年への繰り越しを依頼しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年時の論部作成等の費用に使用を計画しております。
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