2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新谷 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90572983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 明之進 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647)
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
澤端 章好 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50403184) [Withdrawn]
井上 匡美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10379232)
中桐 伴行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70528710)
川村 知裕 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌微小環境 / 肺癌 / 上皮間葉移行 / 癌幹細胞 / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌を取り巻く間質や細胞は、腫瘍の微小環境に寄与し、腫瘍の進展に深く影響している。我々は、癌細胞とその微小環境との関わりを標的とした癌治療の開発を目的とした研究を進めてきた。中でも癌周囲の炎症に注目し、間質細胞が産生する炎症性サイトカインが肺癌腫瘍悪性度におよぼす影響を解析した。 肺癌細胞は、肺癌関連線維芽細胞株CAFや肺由来正常線維芽細胞との共培養によって、上皮様形態からSpindleな細胞に変化し、E-cadherinなどの上皮系マーカーは減少しN-cadherinやVimentinなどの間葉系マーカーが上昇した。浸潤・転移能は上昇し、さらに抗癌剤や分子標的薬への耐性を獲得した。 手術標本から腫瘍周囲の癌関連線維芽細胞CAFを初代培養し、癌細胞株と共培養したところ、EMTが誘導された。この現象は、同時期に初代培養で得られた正常肺線維芽細胞NFの共培養よりもEMT誘導が迅速であり、CAFから分泌される炎症性マーカーの方が、NFに比してEMT誘導効果が強いことが示された。 癌細胞との共培養によって肺線維芽細胞は活性化し、IL-6、TGF-bの遺伝子発現を促進し、実際に培養上清への産生を高めた。これらのシグナルを、各阻害剤によって抑制することで、線維芽細胞の活性化を抑制、さらに癌細胞におけるEMT、癌幹細胞形成獲得を部分的に抑制した。動物共移植モデルでは、肺線維芽細胞の存在により、腫瘍増大速度の上昇、血管新生促進、抗癌剤耐性化、幹細胞マーカー高発現を認め、これらはIL-6、TGF-bシグナル阻害によって抑制された。また、実際の臨床検体を用いた検討では、放射線化学療法後に肺切除を施行した症例では、残存腫瘍内で線維芽細胞が増生し、IL-6発現が増加している症例の予後が不良であった。 活性化した肺癌関連線維芽細胞の増殖や活性を抑制するために、抗炎症効果をもつ薬剤がEMT経路を通して抗癌作用を持つことが判明した。
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Research Products
(4 results)