2014 Fiscal Year Annual Research Report
体外式肺還流装置による脳死マージナルドナー肺の移植前評価・治療に関する研究
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24592091
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大藤 剛宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40452578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺移植 / 体外臓器リカバリシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成22年7月の改正臓器移植法施行により、脳死下臓器提供は格段に増加したが、移植適応限界近くのドナー(マージナルドナー)からの提供がその大半を占めている。したがって移植後肺機能不全に陥る可能性が増加しており、安全に移植を行う方法の確立は急務である。我々は移植不可能と考えられているダメージ肺を、体外臓器リカバリシステムを用い、生体外にて治療・蘇生し、新たに移植可能な臓器として蘇えらせることを目的とした蘇生肺移植研究を行ってきた。本研究はこの装置をを用い、移植前に移植後と同じ条件(再還流)することにより移植肺機能不全を未然に予測・治療することにより安全に肺移植を行う方法の確立を主目的とし、臨床応用を目することで、臓器不足に悩む本邦の問題緩和を目指した。 動物実験の結果体外臓器リカバリシステムを安全に4時間還流し、機能評価及び肺のコンディションを整える技術を確立した。 2012年にはマドリッドの移植施設に本措置の臨床応用に関して当院臨床スタッフを派遣。度重なるシミュレーションと院内倫理委員会の承認を経て2013年にアジアで初めて臨床応用に成功した。脳死ドナー肺は肺炎を併発し、他の移植施設では移植には適さないと判断された。しかし体外臓器リカバリーシステムにて還流、肺動脈内血栓摘除および気管内洗浄も加え状態は改善。移植待機中の患者に移植し、患者の術後経過は良好で現在では日常生活に復帰している。体外臓器リカバリーシステムにより、そのままでは移植に適さないと判断された肺がよみがえり患者救命に貢献できたことは、臓器不足に悩む本邦の問題解決の糸口として大きな成果であったと考える。
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