2012 Fiscal Year Research-status Report
肺癌個別化医療を目指した肺癌予後予測診断システムの構築
Project/Area Number |
24592098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊豫田 明 北里大学, 医学部, 准教授 (10302548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 之俊 北里大学, 医学部, 教授 (90321637)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺癌 / 個別化 / 予後 |
Research Abstract |
学会発表として、肺癌症例318例について、併存疾患を有する肺癌手術は避けられないが、安全な周術期管理のために術前に詳細な把握に努め、適切な術式の選択や併存疾患に応じた周術期管理を行う事が大切であるという結論を得たため、2012年第112回日本外科学会定期学術集会にて「併存疾患を有する肺癌手術症例における術後合併症に関する検討」として報告した。また、循環器合併症を有する肺癌症例124例について、循環器合併疾患を有する肺癌症例は、糖尿病や呼吸器合併症など他の合併症も併存する可能性が高く、術後合併症も有意に多かったが、併存疾患に応じた周術期管理を行う事で安全に手術を施行できるという結論を得たため、「循環器合併症を有する肺癌手術症例の術後合併症に関する検討」として2012年第29回日本呼吸器外科学会総会にて発表した。さらに、冠動脈疾患を有する肺癌症例17例に関して、冠動脈疾患を併存する症例の肺癌手術に際しては、術前評価を含めた周術期管理を適切に行う事で、根治性を落とさず安全に手術を施行できるという結論を得たため、2012年第65回日本胸部外科学会定期学術集会にて「冠動脈疾患を有する肺癌手術症例の検討」として発表した。 論文としては、北里大学病院における肺大細胞神経内分泌癌症例をretrospectiveに検討し、「Clinicopathological features and the impact of the new TNM classification of malignant tumors in patients with pulmonary large cell neuroendocrine carcinoma」としてMolecular and Clinical Oncology誌にacceptされ、acknowledgementに本研究費のサポートを受けた趣旨を記載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度から次年度にかけて、北里大学から東邦大学へ異動となる予定であり、東邦大学において研究を継続するために、研究体制を新たに整えながら研究を推進することを念頭に、本年度は、北里大学におけるそれまでの研究をまとめることに主眼を置いた。したがって、北里大学での試験データの解析、発表、論文化を進めたため、予算執行も発表、論文化が主体となった。その結果、学術集会総会での研究発表3件、2012年第112回日本外科学会定期学術集会「併存疾患を有する肺癌手術症例における術後合併症に関する検討」、2012年第29回日本呼吸器外科学会総会「循環器合併症を有する肺癌手術症例の術後合併症に関する検討」、2012年第65回日本胸部外科学会定期学術集会「冠動脈疾患を有する肺癌手術症例の検討」と、英文論文化1件、Molecular and Clinical Oncology誌「Clinicopathological features and the impact of the new TNM classification of malignant tumors in patients with pulmonary large cell neuroendocrine carcinoma」を成し遂げることができたのは大きな成果であったと考える。北里大学で予定していた分子生物学的解析用の試薬等は、東邦大学において執行するため繰り越しとなった。今後は、東邦大学の臨床情報、臨床検体を使用した研究計画により研究を継続するため、東邦大学医学部倫理審査委員会への研究計画書の提出、承認、患者からの研究同意書の取得、検体の採取から開始し、臨床データの解析とともに研究をすすめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
東邦大学の臨床情報、臨床検体を使用した研究により研究を遂行するため、倫理審査委員会へ研究計画書を提出し、承認を得る。肺癌と診断され、治療目的に東邦大学呼吸器外科に入院となり、本研究に対して同意を得られた患者を対象とし、手術の際に採取した肺癌検体を用いて、epidermal growth factor receptor(EGFR)における遺伝子変異、EGFR 遺伝子増幅、K-ras 遺伝子変異、c-kit 遺伝子変異、HER2 の過剰発現、HER2 遺伝子増幅を検討。c-KIT、VEGF、VEGFR およびその関連遺伝子蛋白発現に関しては、免疫染色を行い、蛋白発現を中心に研究するなどして、DNA、RNA発現解析、蛋白発現解析を行う。年齢、性別、喫煙、術前画像診断におけるpositron emission tomography(PET)のstandardized uptake value値、臨床病期、術後補助療法の有無、再発の有無や予後などの臨床的な背景や、特殊な組織型を含む病理組織診断、腫瘍径、核分裂数、リンパ節転移、病理病期などの各因子における遺伝子発現や遺伝子変異のpatternの相違を検討する。発現結果を肺癌の臨床データと対比して、リンパ節転移、術後再発、予後との関連を解析し、予測マ-カ- としての有用性を検討する。病理学的に悪性の指標とされるmicropapillary patternや高悪性度神経内分泌癌とマ-カ-発現の関連、異型腺腫様過形成などの前癌病変との関連を通じて、発癌もしくは浸潤転移に関連するものであるのか検討する。過去に解析したデータと対比して、われわれが過去に開発した肺癌再発およびリンパ節転移予測マ-カ-や過去に他の施設で発表されたマ-カ-との関連を探索し、新規マ-カ-としての有用性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東邦大学医学部倫理審査委員会への研究計画書の提出、承認、患者からの研究同意書の取得、検体の採取から開始し、臨床データの解析、epidermal growth factor receptor(EGFR) exon 18, 19, 20, 21における遺伝子変異、EGFR 遺伝子増幅、K-ras 遺伝子変異は、exon2、codon12,13 を中心に、c-kit 遺伝子変異はexon 9, 11, 13, 17 を対象に検討する。HER2 の過剰発現解析に関しては、免疫染色により蛋白発現を解析し、関連が疑われた場合にはさらに、FISH 法によってHER2 遺伝子増幅を検討。c-KIT、VEGF、VEGFR およびその関連遺伝子蛋白発現に関しては免疫染色を行い、蛋白発現を中心に研究するなどして、DNA、RNA発現解析、蛋白発現解析を行うがん関連遺伝子発現解析のための費用と、さらにTopoisomeraseIなどの抗がん剤感受性マーカーに対する免疫染色を用いた肺癌に対する抗がん剤感受性の違いによる予後予測に関する研究計画推進のための抗体取得価格64000円を含めた研究費用のために、繰り越し分754196円と次年度分1000000円、東邦大学における研究結果を国内および海外での研究成果報告として報告するために、国内旅費100000円、海外旅費200000円、論文作成などの費用のために200000円を使用予定である。
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Research Products
(4 results)