2013 Fiscal Year Research-status Report
肺移植後急性肺損傷における血管内皮セレクチン機能の解析
Project/Area Number |
24592100
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 太一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80317148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 祐介 帝京大学, 医学部, 助教 (00445214)
大塚 崇 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40306717)
安樂 真樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70598557)
奥井 将之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30594494)
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Keywords | E-selectin / 肺移植 / 急性肺損傷 |
Research Abstract |
いままでの実験では、近交系Lewisラットの同所性左肺移植モデルを用いて、移植後の急性肺損傷を評価し、グラフト肺血管内皮におけるE-selectin発現をフローサイトメトリーで定量化した。結果、E-selectinの発現は移植後4時間の時点で約20%の血管内皮細胞に認められた。他モデルでの検証と比較したところ、LPS肺炎4時間後に匹敵する発現量と考えられた。血清中可溶性E-selectinを測定したところ、それらは肺損傷と相関を示し、急性肺損傷の血清マーカーとして有用であると考えられた。WT(donor)→WT(recipient), E-sel-KO→WT, WT→E-sel-KO, E-sel-KO→E-sel-KO (WT: wild-type rat, E-sel-KO: E-selectin deficient rat) の4通りの肺移植を実施し、グラフト肺の肺損傷を比較検討した。その結果、E-sel-KOがdonorの肺移植では、肺損傷が有意に軽微であり、donor肺血管内皮におけるE-selectin発現が重要であると考えられた。また、血清中可溶性E-selectinも肺損傷と有意に相関し、グラフト肺の膜型E-selectinから遊離分解により産生されたと考えられた。WT(donor)→WT(recipient)の肺移植モデルにおいて、抗E-selectin抗体を投与したところ、肺損傷は有意に抑制された。 そのほか、血流逆転肺移植モデルを20匹作成し、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後での組織学的評価を行った。今までの結果では、末梢肺を中心にfibrosisが観察されており、新たなfibrosisモデルが開発されたと言える。12ヶ月後での病理組織学的評価を今後行う予定であり、血流逆転に伴う病態を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、自らで開発した肺移植手技を用いて、近交系Lewisラットの同所性肺移植モデルを作成した。その上で、肺移植後4時間でラットを犠牲死させ、グラフト肺の肺損傷評価を行った。また、グラフト肺のsingle lung cell suspensionを作成し、フローサイトメトリーを用いて、血管内皮分画でE-selectinの発現強度を検証した。また、自ら考案したsimplified cuff techniqueの変法を利用し、血流逆転肺移植モデルを作成した。このモデルでは、近交系Lewisラットの左肺を同所性に肺移植する際、レシピエントの肺動脈とグラフト肺の肺静脈を吻合、レシピエントの肺静脈とグラフト肺の肺動脈を吻合した。このモデルを長期に生存させ、慢性期にラットを犠牲死させた上で、組織学的検討などを行った。 以上の通り、おおむね研究計画書通りに実験が遂行され、相応の実験結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究で得られた知見を国際学会や英字論文で発表する予定である。論文発表の際は、査読員から提示された追加実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の学会発表費用に充てる予定である。 平成25年度の研究で得られた知見を国際学会や英字論文で発表する予定である。論文発表の際は、査読員から提示された追加実験を行う。諸経費として、約25万円を要する見込みである。
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