2013 Fiscal Year Research-status Report
水透過性の変化を考慮した無侵襲ASL-MRI脳循環計測法の確立
Project/Area Number |
24592115
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 洋次 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (80323682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成相 直 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00228090)
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Keywords | arterial spin labeling / MRI / water permeability / blood brain barrier / cerebral ischemia / transit time |
Research Abstract |
平成25年度も主に臨床MRI装置を用いて、虚血性脳血管障害患者に対してArterial Spin Labeling (ASL)法、Dynamic susceptibility contrast(DSC)法MRI撮影とシングルフォトンエミッションCT(SPECT)撮影を行い、ASL-MRI脳循環計測法の定量性について評価を行った。また脳血液関門の異常により水透過性が亢進する病態として、ガドリニウム造影剤で造影される、すなわちガドリニウムの透過性亢進が見られる脳腫瘍患者についても、同様の撮影を行って透過性とASL計測の関係について検証を開始した。 その結果ASL法による脳血流計測の定量性は循環時間と造影剤漏出つまり水透過性亢進の両者に影響を受けることが判明した。すなわち造影剤が漏出する部位ではSPECTに比べてASL法で計測した脳血流は過大評価される傾向にあり、post-labeling delay(PLD)を変化させても正常脳に比べて脳血流値の変動は少なかった。これは水透過性が亢進した組織では、ラベルされた水分子がより多く漏出してとどまるため、脳血流の過大評価につながると考えられた。 また前年から引き続き循環遅延がASL計測に与える影響について調べたところ、PLDを変化させて2回のASL撮影を行うことで、循環遅延の程度をASL撮影により推測できることも判明した。さらに前年の研究結果を踏まえてPLDを調整することで、ASL計測における循環遅延の影響を減じることが出来るようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年にポジトロンCT検査装置の入れ替え作業があり、その間は撮影が行えなかったため、予定よりは遅れがちとなっている。しかしその分脳腫瘍患者を検討対象に加えたため、別のアプローチで本研究達成に貢献できると考えられ、総合的にはわずかな遅れですんでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は虚血性脳血管障害患者の臨床計測、動物実験を重ねる予定である。 動物実験では脳梗塞後再灌流モデルを用いてASL撮影とポジトロンCT(PET)撮影を行う予定であるが、その際循環時間の変化と水透過性変化を同時に計測する。それぞれの因子がASL撮影の定量性に与える影響を検証し、水透過性と循環時間を考慮したASL撮影の定量方法を確立する。 臨床計測は通常の日常診療において、脳血管障害患者、脳腫瘍患者などでCBF計測が必要な患者に対してASL撮影、PET撮影などを行いデータを蓄積しており、今後も継続する。動物実験により定量法を確立したあと、これら蓄積された臨床データから改めてASL撮影の 定量計算を行う。その後PETなど他のモダリティのデータと比較して、本研究で確立した計測法の妥当性を検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたPET撮影が機器入れ替えにより行えなかったため、それに必要なポジトロン薬剤合成試薬代、研究補助費用、データ記録保存のためのハードディスクなどの経費がかからなかったため。 昨年度までに行う予定だったPET撮影を今年度行う予定である。またMRI撮影画像から透過係数マップを作成するためのソフトウエア購入代金に充てる予定である。
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