2013 Fiscal Year Research-status Report
もやもや病及び類縁疾患に対する新たなバイオマーカーの確立と臨床応用について
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24592121
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 奨 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10378036)
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Keywords | もやもや病 |
Research Abstract |
平成25年度研究実績:biomarker候補であるタンパク質(4kDa台の2つのタンパク質)に関して,1.髄液の固相抽出。2.有機溶媒耐性のゲルろ過高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて当該分子の溶出される付近(3-7kDa)の分画を回収する。3.凍結乾燥し、再び適切なpHのバッファーに溶解する.4.陰イオン系樹脂を通過させ、結合物を回収する。5.スモールスケールで脱塩操作を行う。6.Nano HPLCをオンライン接続したOrbiTrapタンデム質量分析計(Thermo Fisher Scientific K.K., Yokohama, Japan) で同定する。という手順で精製・同定を行った。採取されるタンパク量がごく少量で物質の同定は困難を極めたが、最終的にはLC-MS-MSを用いた解析により、同物質の分子構造が判明した。次にSandwich ELISAを用いてもやもや病患者および非もやもや病患者の髄液・血清検体について4473Daペプチド濃度の定量を行った。ELISAにおける髄液中の濃度とSELDI-TOF-MSの信号強度については同様の結果が得られたが、血清中の濃度とは相関関係が見られなかった。 上記結果からとくに小児もやもや病患者において、髄液中の4473Daペプチドが有用なbiomarkerになり得ると考え、以上の結果をまとめ論文発表準備中である。 また平成24年度に引き続き新規もやもや患者の髄液サンプルを収集し、レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計 (SELDI-TOF MS) を使用しProteinChip 上に選択的に捕捉された微量のタンパク質を解析し新たなるバイオマーカー候補も探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は平成22年に我々の研究グループより発表したバイオマーカー候補の患者群を年齢をマッチングさせプロテオミクス解析を再度行い、小児で特に特異性の高いことを証明した。また術後の血管新生や血管の狭窄性変化との高い相関関係をが示し、この物質がもやもや病の診断のみならず予後に関与する有益なバイオマーカーであること示した。この時点で当初の予定より遅延したが平成25年度は物質同定に成功したことによりELISA分析での追従データー解析が行え、実臨床に有効な診断方法の確立に前進できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展望について。 1.4473Daペプチドの生理活性について、血管内皮細胞への影響をin vitroの実験系にて観察を行う予定である。2.生理活性が明らかになれば当物質を用いた動物モデルの樹立まで行いたい。
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Research Products
(1 results)