2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血のメタボローム解析:脳虚血前後代謝変化の包括的解析によるバイオマーカー探索
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24592126
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
細田 弘吉 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90403261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 淳二 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00594508)
甲村 英二 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30225388)
内橋 義人 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80605999)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | cerebral ischemia / MCA occlusion / metabolomics / RT-PCA / microarray |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】(1) ラット中大脳動脈閉塞モデルを作成し虚血2時間後に閉塞側と健側の大脳皮質および頸静脈血を採取,ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いてメタボローム解析を行い虚血脳に特異的な代謝変化を調べた.(2) 同じモデルを用いて,虚血脳における代謝変化を司る酵素の発現変化をマイクロアレイとRT-PCR法を用いて分析した. 【結果】(1) 組織サンプルtraining setの主成分分析では第1主成分で虚血群と非虚血群が明瞭に分離し,第1主成分負荷量の高い14代謝物(GABA, クエン酸など)のみを用いて別のvalidation setで主成分分析を行うと同様に第1主成分で虚血群と非虚血群が分離された.(2) 組織サンプルのheatmapでも2群は明瞭に区別された.(3) 虚血脳では,TCA回路は止まり,malate-aspartate shuttleやpurine nucleotide cycleなどの補充反応の亢進とペントースリン酸経路の亢進が示唆れた.(4) GABAの増加は脳虚血特異的で,その意義を更に追求する必要がある.(5) マイクロアレイやRT-PCRの結果は,虚血超急性期代謝変化に対する代謝酵素の転写レベルでの制御の関与は少ない事が示唆される一方で,炎症などより長期的な反応を示唆する経路の転写レベルが上昇していた.(6) ラット血漿の主成分分析では組織のような明瞭な2群の分離は得られなかった.部分最小二乗法により2群を判別する可能性のある代謝物(glycerol, lactic acidなど)を見出したが脳組織の結果とすべて一致はしなかった. 【結論】脳虚血超急性期においては,TCA回路が止まり,補充反応が亢進し,ペントースリン酸経路が行進して,虚血による活性酸素の発生に対応しようとしていること,および,これらの変化は転写レベルではなく,酵素活性の変化など生化学的な調整により行われていることが示唆された.
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