2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞外マトリックスDACSのアストロサイトおよび神経細胞における機能解析
Project/Area Number |
24592141
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
奥田 洋明 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40453162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アストロサイト / 細胞外マトリックス / コンドロイチン硫酸プロテオグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)により構成される新規の細胞外マトリックス構造を見出し、その形態からDandelion Clock-like Structure (DACS)と命名し、報告している。本研究の目的はDACSが成熟脳においてどのような機能を持つかを解明することであり、現在までの検討の結果、マウス大脳皮質において特定の一部のアストロサイトでTenascin-R(TNR)が発現しており、このTNR陽性アストロサイトがDACSを構成していること、また、TNRはグルタミン酸トランスポーターのGLASTの発現を調節し、グルタミン酸取り込み能を制御していることが認められた(Okuda et al., J Biol Chem 2013, 289:2620-2631)。 本年度はDACSが細胞内外の情報伝達にどのように関与しているのかを検討した。TNRはCSPGと結合して細胞外マトリックスを形成する他、カドヘリンなどの膜タンパク質と結合する。従って、TNRは他の膜タンパクを介して細胞内の情報伝達に影響を与えていると考えられる。そこで、TNRのsiRNAを用いて、細胞内のシグナル伝達の変化を検討した結果、TNRのノックダウンによりSrc kinaseのリン酸化の減弱が認められた。次に、TNRと結合する膜タンパク質を免疫沈降法を用いて探索したところ、ヘッジホッグ受容体であるPatched1との結合が認められた。 以上の結果より、TNR陽性アストロサイトはDACSを形成し、他の膜タンパク質と複合体を形成し、細胞内シグナル伝達を制御していると考えられる。その結果、GLASTなどの発現を調節し、シナプスなどの微細環境の調節を行い、脳機能を正常状態に保つのに重要であることが示唆される。
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