2013 Fiscal Year Research-status Report
パルスジェットメスによる末梢神経機能温存下拡大経蝶形骨洞腫瘍摘出法の開発
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24592152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 欣一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60606383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 悌二 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00217548)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 助教 (10447162)
鷲尾 利克 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (40358370)
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 助教 (50376597)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (80536748)
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Keywords | 低侵襲手術 / 医工学 / 破断強度 / 機能温存 / 流体工学 / 視覚誘発電位 / 脳神経外科 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
本研究の目的は、末梢神経機能温存下に腫瘍を摘出する手術デバイス(パルスジェットメス)の開発である。初年度はホルミウムヤグ(Ho:YAG)レーザーのパルス発振で誘発した微小液体ジェットの流体制御に関する流体工学的な基礎実験を行い、模擬モデル実験と併せて、組織選択性向上のため各パラメータの最適化を行った。更には当初の計画を前倒しし、デバイスの試作を行い、拡大蝶形骨骨到達法下に摘出術を行い、視神経を巻き込む、あるいは近接する頭蓋底腫瘍21例において視覚誘発電位(visual evoked potential: VEP)モニタリング下にパルスジェットを使用した。その結果、19例において肉眼的全摘出が得られた。腫瘍残存が認められた2例はいずれも髄膜腫で、レンズ核線条体動脈の起始部に意図的残存を図った症例であった。16例で術中VEPの改善が得られ、2例は不変、3例は一時的に悪化したことから操作を中断した。術後は評価の困難であった1例を除く20例、40眼で術前と同等以上の状態が得られた。 現在、東北大学病院倫理委員会の承認を得て、ヒト脳摘出病理標本における物性値ライブラリーを開発しており、今回得られた知見とあわせて、臨床応用の際に適切なパルスジェットの条件設定を行う上で、有用なデータとなるものと考えられる。 次年度は、本年度の検討結果を踏まえ、デバイスの改良を進めるともに、視神経より細径の脳神経における神経機能温存下の組織切開に関する概念実証(proof of concept: POC)に取り組む。具体的には、ラット、ウサギ、ブタモデルを用いた動物実験の評価系を構築し、動物実験を用いて末梢神経温存下の脳摘出に関する非臨床POCを確立し、研究期間終了時に倫理委員会の承認を得て臨床応用に移行可能な知見を得る事を達成目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、平成25年度は24年度で得られた基礎実験結果に基づき、神経温存下パルスジェットメスの試作、ならびに動物実験モデルを用いた神経機能温存評価系の構築を行う予定であったが、前年度に前倒しして施行することができたことから、当初平成26年度に予定していた倫理委員会申請を行い、臨床応用を開始し、非常に優れた臨床成績を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
視神経は脳神経中もっとも太い神経である。本手術用治療器の利点を生かし、さらにこれまで困難であった場面の課題解決を促進するものとするために、開発中の物性値ライブラリーの解析結果とあわせて、さらに細径の脳神経の温存下の組織切開に関する非臨床POCおよび臨床POCに向けた取り組みを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はパルスジェットメスの試作および動物実験モデルを用いた神経機能温存評価系の構築を行う予定であったが、前年度にこれらの計画を前倒しして施行することができたことから、臨床応用を早くに開始することができ、当初の予定より実験に必要とする消耗品等の経費を効率的に使用することができた。また、臨床応用を開始することに伴い、学会等への参加をセーブして専念したため、旅費の使用も抑えられた。 平成26年度使用額は今年度の研究が当初計画以上に効率的に推進したことによる未使用額である。この未使用額は動物実験モデルを用いた神経機能温存評価系のさらなる構築を推し進めるために、平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究計画であるPOCに向けた取り組みを遂行するために必要となる動物(ラットおよびブタ)購入費、動物飼育費、さらに評価を行うための標本製作費等に充てる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Experimental Application of Pulsed Laser-Induced Water Jet for Endoscopic Submucosal Dissection: Mechanical Investigation and Preliminary Experiment in Swine2013
Author(s)
Chiaki Sato, Toru Nakano, Atsuhiro Nakagawa, Masato Yamada, Hiroaki Yamamoto, Takashi Kamei, Go Miyata, Akira Sato, Fumiyoshi Fujishima, Masaaki Nakai, Mitsuo Niinomi, Kazuyoshi Takayama, Teiji Tominaga and Susumu Satomi
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Journal Title
Digestive Endoscopy
Volume: 25(3)
Pages: 255-263
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Pulsed-liquid jet surgical device: Evolution from shock/bubble interaction to clinical application. Proceedings of the Tenth International Conference on Flow Dynamics2013
Author(s)
Nakagawa A, Ohtani K, Ogawa Y, Endo T, Iwasaki M, Niizuma K, Arafune T, Washio T, Kato T, Kudo D, Nakanishi C, Sakurai T, Kamiyama Y, Sato C, Yamada M, Nakano T, Yamashita S, Suzuki T, Tanaka Y, Hagiwara Y, Kunikata H, Kawamoto S, Tominaga T.
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Journal Title
Proceedings of the 10th International Conference on Flow Dynamics (ICFD2013)
Volume: -
Pages: 568-569
Peer Reviewed
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[Presentation] Pulsed-Liquid Jet Surgical Device: Evolution from Shock Bubble Interaction to Clinical Application2013
Author(s)
Nakagawa A. Ohtani K, Ogawa Y, Endo T, Iwasaki M, Niizuma K, Arafune T, Washio T, Kato T, Kudo D, Irinoda T, Nakanishi C, Sakurai T, Kamiyama Y, Sato C, Yamada M, Nakano T, Yamashita S, Suzuki T, Tanaka Y, Takagi N, Imai Y, Hagiwara Y, Kunikata H, Kawamoto S, Tominaga T.
Organizer
10th International Conference on Flow Dynamics
Place of Presentation
仙台国際センター(宮城県仙台市)
Year and Date
20131125-20131127
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[Presentation] Translational research for blast-induced traumatic brain injury: Injury mechanism to development of medical instruments2013
Author(s)
Nakagawa A, Ohtani K, Arafune T, Washio T, Iwasaki M, Endo T, Ogawa Y, Takayama K, Tominaga T.
Organizer
29th Interntational Symposium on Shock Wave
Place of Presentation
Memorial Union (Mdison, WI, U. S. A.)
Year and Date
20130716-20130718
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