2014 Fiscal Year Annual Research Report
HIF-1α発現幹細胞の動態・可視化に基づくグリオーマ病理組織診断基準の確立
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24592164
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
池田 栄二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30232177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 病理学 / グリオーマ / 腫瘍幹細胞 / 低酸素 / 壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリオーマの有効な治療を開発するためには、腫瘍組織内に潜む腫瘍組織再構築能の高い階層上位の腫瘍幹細胞を可視化し標的とすることが必要と考えられる。我々は、高い骨髄組織再構築能を示す骨髄幹細胞と同様に、HIF-1αを発現しG0期にあるグリオーマ幹細胞に高い組織再構築能があるとの仮説のもと研究を遂行している。平成25年度までに、膠芽腫組織内の大きな壊死巣と血管との中間部位にHIF-1α陽性/Sox2あるいはNanog陽性/RNAIISer-P陰性を示す腫瘍細胞が局在することを明らかにしてきた。平成26年度には、ヒト膠芽腫由来細胞株を用いたスフェロイド培養系を中心にin vitroの解析を行った。スフェロイド培養を行う時のインキュベーターの酸素濃度と時間を種々に変化させたところ、5%酸素で24時間培養するとHIF-1α陽性/Nanog陽性/RNAIISer-P陰性を示す細胞がスフェロイド内に出現した。一方、同じ5%酸素でも9時間の培養の場合や、正常酸素濃度(20%)の場合には、上記の表現型を示す細胞は認められなかった。次に、種々の酸素濃度・時間で培養したスフェロイドを解離させsingle-cell suspensionとし、スフェア形成アッセイを行ったところ、HIF-1α陽性/Nanog陽性/RNAIISer-P陰性を示す細胞が出現する条件ではスフェア形成能が有意に高いことがわかった。以上のことから、膠芽腫組織内に見出されたHIF-1α陽性/Sox2あるいはNanog陽性/RNAIISer-P陰性腫瘍細胞は、組織内の酸素濃度に反応して出現し、腫瘍形成能の亢進に深く関与していることが示唆された。
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