2013 Fiscal Year Research-status Report
視床痛モデルマウスの確立と視床痛発症メカニズムの基礎的検討
Project/Area Number |
24592166
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90212646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時村 洋 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50227568)
宮田 篤郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60183969)
栗原 崇 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60282745)
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Keywords | central post stroke pain / thalamic pain / microglia / minocycline |
Research Abstract |
脳卒中後中枢性疼痛は脳血管障害の亜急性期に患側に発生する耐え難い持続性、発作性の疼痛であり患者のQOLを著しく障害する。視床痛発症には視床感覚中継核病変および病変周囲の機能異常や大脳皮質感覚野の機能変化などの要因が示唆されているが、視床痛発症のメカニズムは不明で、病態解析に有用なモデルマウスも存在していなかった。視床痛モデルマウスの作製を検討し、モデルマウスの妥当性を評価するため疼痛行動試験を行うとともに臨床的に一過性の有効性が認められている代表的な薬物に対する感受性を検討した。 我々は、右側視床後外側腹側核に脳定位的にコラゲナーゼを微量注入する(出血病変を作成)ことで視床痛モデルマウス確立を試みた。 組織学的に、出血病変はターゲット付近に比較的限局しており、同部位ではミクログリアとアストロサイトの活性化を認めた。疼痛行動学的検討では左側(障害反対側)後肢の機械的アロデニアおよび熱性痛覚過敏を障害後7日で検出でき、16週間(112日間)以上持続していた。両疼痛様行動はジクロフェナク、モルヒネおよびガバペンチン、プレガバリンに耐性であったが、ミクログリア活性化阻害薬ミノサイクリンは両者に有効であった。以上の結果から本疼痛モデルは脳卒中後中枢性疼痛発祥の病態メカニズムの検討、および新規治療薬開発に有用なモデルであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本疼痛モデルは、脳卒中後疼痛発症モデルとしての妥当性が示唆され、現在発症メカニズムの検討を行っている。 障害部位と健側でミクログリアの活性をIba-1染色を行い、intensityで比較検討した。 疼痛様行動は最大16週まで極めて長期に持続している。一方で、intensityの差は徐々に減弱した。 ミクログリアの形態変化(活性化ミクログリア)は残存しており、何らかのミクログリア活性が残存している可能性が あると考え組織学的に検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本疼痛モデルは、視床痛発症メカニズムの検討、および新規治療薬開発に妥当なモデルであることが示唆されたが、ミクログリア投与と疼痛様行動の抑制との相関性を検討することが必要と考えられる。ミノサイクリン投与群とコントロール群の薬剤投与後の ミクログリア活性について検討中である。
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