2014 Fiscal Year Annual Research Report
視床痛モデルマウスの確立と視床痛発症メカニズムの基礎的検討
Project/Area Number |
24592166
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90212646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時村 洋 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50227568)
宮田 篤郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60183969)
栗原 崇 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60282745)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Allodynia / Chronic pain / Hyperalgesia / Intracerebral hemorrhage / Microglia |
Outline of Annual Research Achievements |
視床痛は視床の血管障害後、亜急性期に患側上下肢や顔面に発生する持続的、発作性疼痛で、難治性疼痛の代表である。メカニズムの詳細は不明で、未だ有効な治療法は存在しない。先行論文を基に、右視床後外側腹側核に脳定位的にコラゲナーゼを微量注入(出血病変作成)し、視床痛モデルマウスの確立を試みた。 1)疼痛行動学的に、術後1週目から左後肢(患側)の有意な機械的アロディニア及び熱性痛覚過敏を認め、両症状は長期(10週以上)観察された。術後1-2週をP:Phase1、3-4週をP2、10週以降をP3と区分し薬理学的検討を行った。 2)アミトリプチリン、ラモトリギン、ミノサイクリンは有効、ジクロフェナク、モルヒネ、プレガバリンは無効だった。 3)ミノサイクリンはミクログリア活性化阻害作用を有する。本モデルの機械的アロディニアにP1-3で、主に健側に抑制効果を認めた。熱性痛覚過敏は、P1で無効、P2、3で投与早期に抑制効果を認めた。 4)Iba-1免疫染色を行い、健側に対する患側のミクログリア活性化を検討した。患側Iba-1免疫活性はP1、2で有意に発現上昇していたが、P3で健側との有意差は認めなかった。ミクログリアの形態変化は残存し、何らかのミクログリア活性化も示唆された。 ジクロフェナク(NSAIDs)、モルヒネ非感受性の疼痛が長期に持続、三環系抗うつ薬に感受性を示す等、ヒト脳卒中後疼痛(CPSP)と薬物感受性が極めて類似した疼痛行動学的特徴を呈した。ミノサイクリンは、機械的アロディニア、熱性痛覚過敏共に有効だった。ミノサイクリンの疼痛行動抑制は、ミクログリア活性化抑制に加え、独立した機序による抗炎症作用の関与も考えられる。今回確立したマウス視床痛モデルは、脳卒中後疼痛(CPSP)発症の病態メカニズムの検討に妥当で、ミクログリア活性化メカニズムを標的にしたCPSP新規治療薬開発の可能性が示唆された。
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