2014 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病に対する脳深部刺激療法と薬物療法を融合した適正な治療戦略の検討
Project/Area Number |
24592175
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
深谷 親 日本大学, 医学部, 准教授 (50287637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
大島 秀規 日本大学, 医学部, 准教授 (20328735)
小林 一太 日本大学, 医学部, 准教授 (20366579)
山本 隆充 日本大学, 医学部, 教授 (50158284)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳深部刺激療法 / パーキンソン病 / 視床下核 / 早期手術 / 罹病期間 / 薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、DBSを早期に導入した症例において、薬物療法を長期に継続した症例より機能予後が良好であったことを示すcontrolled randomized trialが発表され、早期手術の意義が注目されている。本研究では、比較的早期にSTN-DBSを導入した群と平均的な罹病期間を有する群の予後を比較し、罹病期間が手術効果に与える影響について検討した。 対象は、当院にてSTN-DBSを施行し、術前から術後3年目まで、UPDRSおよび神経心理学的検査のfollow-upがなされている症例とした。これらの症例を術前の罹病期間が9年未満のグループ(A群、n=34)と9年以上のグループ(B群、n=67)に分け、機能予後の違いについて検討した。まず術前のUPDRS、MMSE(Mini-Mental State Examination)およびHDS(Hamillton Depression Scale) をA群B群間で比較した。さらに術後1年と3年目に評価されたこれらのスコアの変化率を、オン時とオフ時において比較した。 結果として術前のUPDRS、MMSEおよびHDS にはAB群間で有意な差は認められなかった。術後1年以内に評価されたUPDRS total scoreの改善率は、オン時A群が42.7±29.7%、B群が33.2±25.2%で有意にA群の方が良好であった(p<0.05)。しかしオフ時に関しては有意な差は認められなかった(p=0.20)。術後3年目の比較では、オン時A群が55.5±28.6%、B群が37.5±35.5%でA群の方が有意に改善がよかった(p=0.02)。オフ時にもA群が良好な傾向はみられたもののその差は有意ではなかった(p=0.06)。 結論としてパーキンソン病発症後9年未満でSTN-DBSを導入した群の方が、9年以上の罹病期間を有する群より良好な改善率が維持される傾向にあった。とくにオン時に有意であり、また比較的早期(術後1年以内)より3年目の評価にてその差ははっきりとしていた。
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