2014 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制因子と低酸素反応阻害因子併用による新しい悪性グリオーマ化学療法の確立
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24592178
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
林 拓郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 客員講師 (40296611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 雄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60218849)
伊藤 圭介 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (70622934)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性グリオーマ / ベバシズマブ / ラパマイシン / 移植 / 低酸素 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
in vivoにおけるヒトグリオーマ細胞U251に対するラパマイシン、ベバシズマブおよび併用療法による抗腫瘍効果を評価するためBALB/C マウスの皮下移植を行った。グリオーマ細胞1.0x106/10μlを移植した後に1週間程度で腫瘍塊(径5-10mm程度)の形成が確認されたマウスにのみ投与を行った。投与開始21日後では、対照群に比較して、ラパマイシン、ベバシズマブは腫瘍塊の増大の抑制を認め、併用群ではさらに抑制されていた。同様の移植実験をBALB/C マウス脳内(線条体)に行った。移植後、脳内移植7日後にラパマイシン、ベバシズマブを7日ごとに腹腔内投与した。投与開始28日後時点での生存例では脱脳し、パラフィン切片を作成し脳内に明らかな腫瘍塊が認められないものは除外した。ラパマイシン、ベバシズマブ投与群では対照群に比して生存期間が延長したが、併用群ではさらに延長を認めた。さらに移植28日後の移植マウス脳のパラフィン包埋切片を組織学的に検討した。併用群ではVEGF、HSP90の発現が抑制されていた。他の群では明らかな傾向は見いだせなかった。以上のように、ヒトグリオーマ細胞U251に対して、mTOR阻害剤ラパマイシンの抗腫瘍効果とベバシズマブへの上乗せ効果の可能性が示唆された。実際にはグリオーマの発生、増大にはグリオーマ幹細胞が関わっていると考えられるため、幹細胞が脳内で分化する様式と外部からのグリオーマ細胞を移植して増大する様式では分化様式が異なると考えられる。このため、今回の結果からは臨床的なグリオーマでの効果は不明であると考える。今回の検討でもグリオーマ組織由来の腫瘍幹細胞培養系の確立するため、当施設での腫瘍摘出術の際に採取されたグリオーマ組織を用いて検討を行った。現時点で実験系に用いるために充分な幹細胞の確立はできなかった。
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