2013 Fiscal Year Research-status Report
小児虐待による頭部外傷の事故によるものとの鑑別方法に関する研究
Project/Area Number |
24592182
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター) |
Principal Investigator |
山崎 麻美 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10359309)
|
Keywords | 虐待 / 頭部外傷 / 画像診断 |
Research Abstract |
小児虐待による頭部外傷(abusive head trauma:AHT)は重症で予後が悪く、医学的治療に成功しても、社会的対応を誤ると子供を死亡させてしまう。児童相談所に通報すべきかを迷うことも多い。臓器移植法改訂に伴い、臓器提供のドナーが虐待の被害者でないかどうか鑑別することも必要である。児童相談所や警察あるいは検察からも、医学的見解を求められることがある。医学的見解は、それらの決定に与える影響が大きく、児、親、家族の将来に大きく関与する。臨床像について画像所見を中心に6型に分類し、臨床所見、虐待対応との関係を検討し画像所見で事故と虐待をどこまで鑑別できるかを検討した。 2000年以降現在までに、経験したAHTおよびそれが疑われる89例を対象とした。89例の内訳は男児59例、女児30例、受傷時年齢1ヵ月から5歳8ヶ月で、74例(83%)は1歳以下であった。頭蓋内損傷を6型に分類した。I型:脳挫傷を伴う広範囲の損傷、II型は急性硬膜下血腫と脳ヘルニアを主体とするもの。 III型:薄い硬膜下血腫に脳浮腫を主体とするもの,いわゆる乳幼児揺さぶられ症候群(Shaken Baby Syndrome; SBS)にあたる。IV型は慢性硬膜下血腫に急性出血を合併するもの。V型は小さな硬膜下血腫。VI型はその他で多発性骨折、くも膜下出血を呈するものである。それぞれの例数と平均月齢はI型;7例、II型は9例、III型30例、IV型は8例、V型;23例、VI型は12例であった。予後に関しては、不明5例を除いて、全体で死亡例が15例、不良例が21例、良好48例であった。死亡例および不良例がそれぞれI型;85%、II型は56%、III型60%,IV型は50%,V型0%、VI型は25%であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例は100例を超えている。それら頭蓋内損傷を6型に分類した。I型:脳挫傷を伴う広範囲の損傷、II型は急性硬膜下血腫と脳ヘルニアを主体とするもの。 III型:薄い硬膜下血腫に脳浮腫を主体とするもの,いわゆる乳幼児揺さぶられ症候群(Shaken Baby Syndrome; SBS)にあたる。IV型は慢性硬膜下血腫に急性出血を合併するもの。V型は小さな硬膜下血腫。VI型はその他で多発性骨折、くも膜下出血を呈するものである。それぞれの例数と平均月齢はI型;5例、21.2ヵ月、II型は4例、46.25ヶ月、III型20例、 9.6ヵ月、IV型は7例、4.5か月、V型;20例、8.5か月、VI型は7例、4、2か月であった。予後に関しては、死亡例および不良例がそれぞれI型;80%、II型は75%、III型65%,IV型は29%,V型0%、VI型は29%であった。特にIII型、IV型、V型で虐待と事故の鑑別が難しい。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の100例をa; 事故と認定されたもの、b; 虐待と認定されたもの、c; その他に分類すると、それぞれa;35例、b;33例、c; 32例であった。それらを各群で比較し、事故と虐待を判別する要因分析を行う。今後は、これらの事例が、捜査段階あるいは裁判の経過、あるいは児童相談所のプロフェッショナルの職員が調査を行った経過で、明らかになったと判断できる頭部外傷の受傷機転について、画像診断と照らし合わせ、検討する作業が必要になる。特にIII型、IV型、V型で虐待と事故の鑑別が難しい。放射線科医や小児科医あるいは頭部外傷の専門家である小児脳神経外科医とそれらを中心に症例の検討を行い、鑑別点の抽出などの作業を行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度までのところで目標の100例が集積しえた。そのなかで、a; 事故と認定されたもの、b; 虐待と認定されたもの、c; その他に分類して、その要因を検討する。検討会議には、医学(脳神経外科、放射線科)工学系、法曹界の専門家が必要である。しかしながら、資料が裁判資料などであるため、法的な枠組みを整える必要がある。そのために複数回の会議を持つ必要が在り、そのための費用である。 人件費800,000万円 検討会を持つための経費;1回100,000円×3回
|
-
[Journal Article] 胎児の人権2013
Author(s)
山崎麻美
-
Journal Title
妊娠分娩と脳卒中 The 31st Meeting of The Mt. Fuji Workshop on CVD
Volume: 1
Pages: 71-75
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-