2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592191
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
波呂 浩孝 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10313264)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 隆 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10377492)
中尾 篤人 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80317445)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 脊椎脊髄病学 / MMP |
Research Abstract |
椎間板変性のメカニズムを特定することは、腰椎疾患の成因解明に極めて重要である。我々は、これまでに椎間板ヘルニア退縮のメカニズムを同定してきており、炎症性サイトカイン(TNF-α、TWEAK、MCP-1)や蛋白分解酵素(MMPs)や血管新生因子(VEGF)やマクロファージの遊走が、重要であることが明らかとなっている。椎間板ヘルニア退縮と椎間板変性の機序において、いずれも炎症に起因することがわかっており、今回、これら一連のメカニズムのイニシエーターを同定すべく、PAR-2に着目し実験を行った。 マウス椎間板における組織培養を行い、PAR-2の刺激に対する炎症性サイトカインや血管新生因子の反応を検討した。しかし、炎症のイニシエーターとなりうるような、有意な反応を認めなかった。 そこで、血球の遊走や炎症反応のイニシエーターとして、各組織分野で注目されているヌクレオチドに着目し、実験を行った。 椎間板に対して、各種ヌクレオチド(ATP、ADP、AMP、adenosine、UTP、UDP)で刺激を行うと、ATPによって時間・濃度依存的にVEGFの発現を認めた。また、マクロファージの走化性の上昇も認めた。また、椎間板への負荷で、ATPが放出されることも認めた。 これらの発見により、椎間板に加わった負荷によりATPが放出され、ATPの作用にて既知のカスケードが生じ変性に至るということが推測された。この結果、炎症および変性において、カスケードのより上流でコントロールできる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画のPAR-2で有意な反応が得られず、ターゲットをATPに変更し、計画と同様の実験を行った。ATPが関与することは確認できたが、当初の予定であったレセプターの同定や細胞内シグナルなどのシグナル伝達経路を解明するには至っていない。達成度としては70%程度と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ATPのレセプターは、現在15種類存在することが知られているが、今回の反応がどのレセプターを介して起こっているかを、アンタゴニストやアゴニストやノックアウトマウスを用いて同定する。また、PCR法やWestern Blotting法を用いて細胞内シグナルの検討を行う。 その実験結果をもとに、最適な標的分子を同定し、実際に自然発症腰椎変性ビーグル犬を用いて抗サイトカイン療法を行い、椎間板変性の抑制の評価および治療効果の検討を行う。具体的には、若年ビーグル犬に、ATPのアンタゴニストなどを経皮的に投与する。評価は、MRI、歩行可能距離、四肢筋力などにて治療効果の検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|