2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592196
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前野 耕一郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70403269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 康太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00379372)
角谷 賢一朗 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10533739)
土井田 稔 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (60237170)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 椎間板 / 変性 / 硬膜外脂肪組織 / adiponectin / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画では、H25年度以降にTransposagen社からFas ligand(FasL)ノックアウトラットを購入して同ラットの解剖学的・組織学的評価を行うとともに、椎間板髄核細胞を採取してマクロファージとの共培養実験を行う予定であった。しかしながら前年度研究実績に記載の如く、ノックアウトラットの検疫問題が発生したことや、FasL遺伝子のsiRNAが機能しなかったことからFasL関連の実験継続を断念した。これにより、昨年度は研究の根幹である「椎間板変性」に視点を戻し、ラット尾椎の創外固定モデルを使用した椎間板変性における遺伝子動向の評価を行った。一方で研究最終年度である本年度は、研究タイトルである「椎間板変性に由来する疼痛発生メカニズムの解明」を、研究継続を断念したFasL遺伝子とは別視点において以下の様に評価した。 我々は過去の報告から、脂肪組織に含まれるadiponectinの持つ抗炎症作用に着目した。椎間板周囲には多くの硬膜外脂肪が存在しており、同組織内のadiponectinが椎間板変性に由来する炎症を防御すると仮説を立てた。そこでまず、手術材料から採取した人の硬膜外脂肪組織におけるadiponectinの発現を確認した。続いてラット尾椎椎間板の髄核・線維輪細胞において、adiponectin受容体であるadipo R1とadipo R2が発現していることを確認した。さらにこれらを用い、in vitroでIL-1βによる炎症刺激を加えるとともにadiponectinを投与して、続発する炎症反応であるTNF-αの推移を評価した。すると、特に線維輪細胞においてはadiponectinを付加した群でのTNF-α発現量が優位に減少していた。以上の結果から、椎間板周囲の脂肪組織は椎間板組織に発現するadiponectin受容体を通して、恒常的に椎間板周囲に発生する炎症反応を制御している可能性が示唆された。
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