2015 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイドによる髄鞘形成機構の解明および髄鞘形成誘導を介した神経再生促進
Project/Area Number |
24592208
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90381962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 良 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80516469)
徳永 大作 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343409)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 末梢神経 / グルココルチコイド |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経障害後の回復スピードは約1日1mmと遅く、また完全に損傷前の機能を回復することはない。本疾患に対する効果的な薬物療法はいまだ確立しておらず、薬物による末梢神経再生誘導治療が望まれている。申請者は、末梢神経再生をテーマに分子生物学的およびイメージングの手法を用いて、再生メカニズムの解明及び末梢神経再生に関連する因子の同定を行ってきた。この結果、ステロイドホルモンの一つであるグルココルチコイドおよびその受容体であるグルココルチコイド受容体(GR)に着目し、末梢神経再生過程において、以下のような重要な作用を担うことを明らかにした。1. GRが、正常および損傷した坐骨神経においてシュワン細胞に存在し、末梢神経再生過程に発現が亢進したこと。 2. 内因性グルココルチコイドは、シュワン細胞のGRを介して、末梢神経損傷後の髄鞘形成に関与していたこと。 3. 末梢神経再生の非侵襲的イメージング技術として、MRI拡散テンソル法が有用であること。これらの知見をもとに、グルココルチコイドによる髄鞘形成機構に関して解明されていない基礎的研究を進め、また末梢神経再生の新たな評価法の確立に向けた研究を行った。その結果、ラマン顕微鏡で観察した末梢神経からの波形は、培養細胞で観察されたピーク変化に依存した波形と一致し、損傷坐骨神経の経時的観察によると、着目した2853, 2885, 2940 mc-1のピーク比が変化した。この変化は免疫組織化学染色の結果と類似した変化をしていた。ラマン分光顕微鏡による非染色な観察により、末梢神経の細胞および組織から有用なピーク変化をとらえることができた。今後はより実用化できる撮影方法の工夫を行うことで、非侵襲的な画像診断法につながる可能性がある。
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