2012 Fiscal Year Annual Research Report
マーモセットをモデルとした多能性幹細胞由来神経幹細胞による脊髄損傷前臨床研究
Project/Area Number |
24592210
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
嶋田 弘子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (60528644)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / ES細胞 / 脊髄損傷 / マーモセット / 霊長類 / 再生医療 |
Research Abstract |
コモンマーモセットES/iPS細胞由来神経幹細胞を用いた、コモンマーモセット症例モデルへの移植は、霊長類における多能性細胞を用いた再生医療の前臨床研究として有用である。そこで我々が樹立したコモンマーモセットES細胞から胚葉体(Embryoid Body; EB)形成を介して神経幹細胞へと分化誘導する方法の開発を行った。その結果、本方法で得られたニューロスフェアは自己増殖能を持ち、一次ニューロスフェアからは主にニューロンが、二次ニューロスフェアからは、ニューロンに加えてアストロサイトが生み出されることが明らかとなった。これは、中枢神経系の発生において、まずニューロンが産生され、遅れてグリア細胞が産生される現象を、in vitroで再現しているものと考えられる。さらに培養方法を改良することで、オリゴデンドロサイトへの分化誘導も可能となった。本方法で得られた神経幹細胞から生み出されたニューロンは、Ca imagingにより、機能的である可能性が示唆された。また、マイクロアレイにより神経分化の過程における遺伝子発現プロファイルを調べ、主成分解析を行ったところ、ES細胞からの分化過程において、遺伝子発現プロファイルが徐々に胎児由来神経幹細胞に近づいて行くことが示された。本方法で得られた神経幹細胞をマウスの脳に移植したところ、移植細胞がニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトへ分化していることが確認された。 これらの結果より、コモンマーモセットES細胞から、in vitroで神経発生をある程度再現しながら、胎児由来神経幹細胞に近い性質を持つ神経幹細胞へと誘導することができたと考えられる。現在、本研究により得られたコモンマーモセットES細胞由来神経幹細胞を、コモンマーモセット脊髄損傷モデルへ同種間移植することにより、詳細に移植の有効性、特に安全性を評価している。
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