2014 Fiscal Year Annual Research Report
がん性疼痛機序解明研究と内因性モルヒネ遺伝子導入による新しい鎮痛法の開発
Project/Area Number |
24592211
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
男澤 朝行 帝京大学, 医学部, 講師 (60375706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊根 知明 帝京大学, 医学部, 教授 (10407918)
大鳥 精司 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40361430)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 難治性疼痛 / がん性疼痛 / オピオイド受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、我が国でも高齢化の進行に伴い変性疾患が増加しており、慢性化し難治性疼痛となる症例も多くなっている。近年の腰痛関節痛の生涯罹患率は85-90%とされ、また日本の総人口のうち約13%がなんらかの慢性痛を持つと報告されている。特にがんの転移性脊椎腫瘍など神経浸潤の場合は原疾患の治療が難しい場合もあり、このような痛みは臨床の場において治療に難渋することが多い。 難治性疼痛へと推移することが多い神経障害性疼痛やがん性疼痛がモルヒネ抵抗性である機序を明らかにし、将来的に新たな鎮痛方法を確立する手がかりとすることを目標に考えた。さらに副作用なく強力な鎮痛作用を長期に得ることを目的とし、βエンドルフィンの前駆体proopiomelanocortin (POMC)を体外衝撃波(RSW)の使用により遺伝子導入を試みた。神経障害性疼痛モデル、がん性疼痛モデルを作成、POMCの筋注と同部位へRSWを照射し遺伝子導入を行った。von Frey testとCatwalkを用いた行動学的評価ではラットの疼痛行動が抑制され、後根神経節でのCGRP陽性細胞と脊髄後角のグリア活性は有意に減少した。POMCの遺伝子導入により、長期間にわたり副作用なく強力な鎮痛作用が得られる可能性が示唆された。さらに癌性疼痛モデルを開発・作成し、同様にその鎮痛効果を確認した。 現在我が国の高齢化に伴い慢性腰痛などの難治性疼痛患者は増加していると考えられ、今後の新たな治療法となりうると考えている。将来的な臨床応用を目指してさらに基礎実験を重ねていく予定である。
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