2014 Fiscal Year Research-status Report
世界初、幹細胞由来靭帯組織作製成功による靱帯骨化ブロッカー製剤開発研究
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24592215
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
津留 美智代 久留米大学, 医学部, 講師 (90368887)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 後縦靭帯骨化症 / プロテオーム / 創薬 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
原因不明の難病であった後縦靭帯骨化症の疾患特異的タンパク質を発見した。このタンパク質は、後縦靭帯骨化症の分類に併用した定量を示した。 このタンパク質の遺伝子改変マウスを作製した結果、マウスのすべてに後縦靭帯骨化症を発症し、糖尿病の合併をも類似した発現系を呈した。この成果により、発見した特異的タンパク質は、後縦靭帯骨化症の発症において、直接的な原因タンパク質であると示された。更に、患者血清中の定量値と発症強度が比例していることから、ELISAキッドの薬事法の申請を準備している。次に、本研究課題である後縦靭帯骨化症の治療製剤の開発に着手した。製薬企業への橋渡し研究のために、作製した後縦靭帯骨化症モデルマウスを使い、発症早期に疾患特異的タンパク質から合成した製剤の投与実験を行い、非投与群との比較試験を実施した。非投与群のマウスは、後縦靭帯骨化症が進行し、四肢麻痺を呈し、餌や水を人工的に与える介護状況に至ったが、治療群のマウスは、後縦靭帯骨化症の病態は停滞し、糖尿病の発現が抑制され、健常値に近い値となった。 本研究により、これまで難病であった後縦靭帯骨化症は、疾患特異的タンパク質のELISA検査試薬により、早期発見が可能となり、同時に、製剤の投与による治療が確立されたことになる。 本研究成果を臨床試験へ展開するために、グローバル化した多施設試験の準備を行い、後縦靭帯骨化症の克服をする。 後縦靭帯骨化症の特異的タンパク質を発見し、モデルマウスの作製に成功したことは、世界初めてのことであり、プロテオミクスの意義を証明したことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
後縦靭帯骨化症の克服研究を目的に、13年間、プロテオーム解析から疾患特異的タンパク質を発見し、その立証研究により、モデルマウスの作製に成功したことは、大きな研究成果であったと考える。世界で初めての後縦靭帯骨化症モデルマウスの骨形態、生化学データー解析から、新たなメカニズムの解明ができ、ヒトの後縦靭帯骨化症の患者にも同じ結果が見られたことで、疾患特異的タンパク質が疾患の直接的原因タンパク質であったことに加え、そのタンパク質からの新たな骨化メカニズムが解明でき、現在、論文を投稿している。 また、患者血清中から疾患特異的タンパク質を精製し、アミノ酸解析、立体構造解析により、製剤開発が可能となった為、目的である後縦靭帯骨化症治療製剤の最適化研究準備ができた。 後縦靭帯骨化症のモデルマウスに治療製剤を投与すると発症の進行が抑制され、合併症が改善された。しかし、非治療群では、後縦靭帯骨化症の進行が進み、四肢麻痺を呈し、餌や水を人工的に与える必要が生じ、患者の介護状態となった。 本疾患タンパク質のELISAキッドは、薬事法の検討を進めており、将来、臨床検査により、早期発見が可能となり、同時に、治療製剤の投与を視野に研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
日本医療研究開発機構(AMED)への移行を希望する。並行し、製薬企業、検査試薬会社への薬事法整備を実施し、迅速な臨床試験を遂行し、日本から欧米へのICH臨床試験の整備を行いたい。 本研究は、必ず、後縦靭帯骨化症の患者の不安を無くすことができる研究成果である。患者に届けるために、PMDAとの戦略薬事相談を実施し、臨床試験への整備を行いたい。
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Causes of Carryover |
後縦靭帯骨化症のモデルマウス作製と維持費、生体の検査を行い、発症メカニズムの解明をマウスの生存時間内で実施する必要があり、且つ、本研究成果の論文公開を行うために次年度使用額の計上を希望した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の展開のために新たな研究申請を行い、臨床試験への最適化研究を実施する。
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