2012 Fiscal Year Research-status Report
陽極酸化されたチタンニオブスズ合金表面へのアパタイト析出および細胞毒性評価
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24592220
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 則一 東北大学, 大学病院, 助教 (90333806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (10005960)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | TiNbSn合金 / 陽極酸化処理 / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
本課題ではTiNbSn合金表面にハイドロキシアパタイトを形成させるために陽極酸化技術に着目した。東北大学金属材料研究所より供与いただいたTiNbSn合金、純チタン合金で直径12.5㎜、厚さ1㎜の円板に様々な条件で陽極酸化を行った。その結果、過去の報告と同様に、TiNbSn合金表面でも純チタンで観察される表面変化と同様の変化が観察された。H25年度の課題であった、陽極酸化処理を行ったTiNbSn合金へのハンクス溶液(Na+142.0, K+5.8, Mg2+0.9, Cl-145.6, HCO3-4.2, HPO42-0.8, SO42-0.4mM)中でのハイドロキシアパタイト析出実験を行った。実験は陽極酸化のみ、陽極酸化+温水処理を行ったTiNbSn合金製と純チタン製円板を準備した。課題に申請した通り、ハンクス溶液に浸漬して円板表面へのハイドロキシアパタイトの析出能を評価した。陽極酸化も東北大学金属材料研究所で行い、水酸化処理追加および温水処理は東北大学整形外科で行った。申請時には陽極酸化+加熱処理(600度)も記載したが、600度加熱処理でTiNbSn合金の合金特性が変化してしまう可能性が高く、本実験では加熱処理は行わなかった。ハイドロキシアパタイト析出の陽性コントロールとして、ハイドロキシアパタイト製の円板であるセルヤードペレットを使用した。まず、陽極酸化によってTiNbSn合金表面には、過去の報告と今回使用した純チタン合金と同様の表面形状が観察された。またハイドロキシアパタイト析出試験では、表面陽極酸化処理(2M酢酸電解溶液使用、定電圧150V、50mA、30分)で、温水処理(80℃蒸留水に48時間浸漬)を行った円板にハイドロキシアパタイトの析出が確認された。陽極酸化処理のみではハイドロキシアパタイトは析出せず、金属表面にOH-基が増加することが必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初H24年度は陽極酸化によってTiNbSn合金表面にも、純チタンに陽極酸化を行った時に観察される変化が生じるかどうか、また陽極酸化の条件によってその表面形状は影響を受けるかを調べることが課題であったが、本実験で陽極酸化によってTiNbSn合金でも純チタン合金と同じ表面変化が観察された。その後H25年度分の課題であったハイドロキシアパタイトの析出に最も適した陽極酸化の条件設定を行った。合金円板で陽極酸化のみではハイドロキシアパタイト析出は困難と考えられたが、温水処理を追加することでTiNbSn合金表面でもハイドロキシアパタイトの析出が確認された。H24年度の課題進捗状況としては順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はTiNbSn合金製の円板に陽極酸化処理+温水処理を加えることでハンクス溶液中においてハイドロキシアパタイトが析出できることが分かった。次年度は同条件で加工したTiNbSn合金が生体内で骨新生を誘導することができるかどうかを検証する予定である。直径4.5㎜、長さ25㎜のロッド表面に陽極酸化+温水処理を施し、円板と同様にハンクス溶液内でハイドロキシアパタイトが析出するか検証する予定である。円板と異なり、ロッド形状では陽極酸化の至適条件が異なる可能性がある。また、ハイドロキシアパタイトの析出は、金属の形状に大きく影響される可能性があるので、ロッド表面にハイドロキシアパタイトの析出が確認されるか現時点では不透明である。ロッドの表面にハイドロキシアパタイトの析出が確認されたら、その条件で処理したロッドをウサギ大腿骨内に包埋し、その引き抜き強度を計測し、未処理ロッドの結果と比較する計画である。組織学的にも非脱灰標本を作製し、ロッド周囲の新生骨量の比較を行い、陽極酸化+加水処理がロッド周囲への骨新生を早め、新生骨量も増加させることができるかを検証する予定である。H24年度に円板表面の陽極酸化処理だけでなく、ハイドロキシアパタイト析出まで確認できたので、H25年度ではロッド表面へのハイドロキシアパタイトの析出評価をメイン課題とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究計画は順調に進行した。次年度使用額は今年度の研究が効率的に推進したことに伴う未使用額でありH25年度請求額とあわせてH25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)