2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
若林 弘樹 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50362687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松峯 昭彦 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00335118)
須藤 啓広 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60196904)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 肺転移 / 生物学的製剤 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
骨肉腫細胞株143B細胞を用いてin vitro及びin vivoの動物実験を行った。 1.自然肺転移動物モデルの作成 ヒト骨肉腫細胞株143BをヌードマウスもしくはSCIDマウスの脛骨に移植する。移植後2週から6週間まで1週毎に安楽死させ、移植された脛骨のレントゲン的評価及び組織学的を、肺は肉眼的評価及び組織学的評価を施行し、肺転移形成の有無及び経時的変化を評価し、評価至適週数を検討した。骨肉腫細胞株143Bをヌードマウスに移植したモデルでは移植6週を経過しても100%肺転移は認められなかった。SCIDマウスに移植したモデルを継時的に観察すると移植2週より肺転移は成立し、移植腫瘍、肺転移数および肺転移率は継時的に増加した。移植4週後では100%肺転移が認められた。しかしながら、移植5週後を過ぎると、肺転移が原因で死亡すると考えられるマウスが出現した。従ってSCIDマウスを用いて移植4週後で評価することとし、SCIDマウスと骨肉腫細胞株143Bを用いた自然肺転移モデルが確立した。 2.ヒト骨肉腫細胞株143Bにおける炎症性サイトカイン抑制による抗腫瘍効果の検討 143Bにインフリキシマブを添加し、細胞増殖能、移動能、浸潤能への影響について検討した。細胞増殖能は細胞増殖曲線により、検討した。インフリキシマブ100ug/mlの投与でも細胞増殖抑制効果は認められなかった。細胞移動能・浸潤能はBoyden chamberを用いて検討した。インフリキシマブ30-100ug/mlの投与で移動能・浸潤能の抑制効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画ないの研究が達成できたため。 具体的には骨肉腫細胞株をマウスに移植し、継時的な評価に基づき、動物モデルが確立した。 インフリキシマブによるin vitroの抗腫瘍効果について評価・検討により、移動能・浸潤能を抑制することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた知見に基づき、引き続き、ヒト骨肉腫細胞株143Bにおける炎症性サイトカイン抑制による抗腫瘍効果を細胞培養と動物モデルを用いての検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.これまでの報告でTNFαは腫瘍細胞のVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)の発現の上昇やケモカインやその受容体の発現上昇が報告されている。また、ヒト繊維芽細胞を用いた研究ではTNαを添加することにより細胞外マトリックスを構成するプロテオグリカンの一つであるデコリンの発現が減少することが報告されている。我々は骨肉腫高肺転移株を用いた研究でデコリンの発現が低下していることを見出し、デコリンを強発現させることにより肺転移を抑制することを見出した。これらの知見に基づき、VEGFやケモカインの発現と細胞移動能・浸潤能への影響とデコリンの発現状態について検討する。 1) 143Bにインフリキシマブを添加し、VEGF、ケモカイン(C2CL2)、ケモカイン受容体(C4CXR)の発現をPCRでmRNAの発現を検討する。2) 143Bにインフリキシマブを添加し、デコリンの発現についてPCRでmRNAの発現を、ウエスタンブロット法でタンパクの発現を検討する。3) 143Bにデコリン遺伝子を強発現した143B-DCNを作成し、そのTNFα発現についてPCRでmRNAの発現を、ウエスタンブロット法でタンパクの発現を検討する。 2.動物モデルを用いた炎症性サイトカイン抑制による抗腫瘍効果および肺転移抑制効有無 1)ヒト骨肉腫細胞株143Bをマウスの脛骨に移植する。移植後インフリキシマブ(抗TNFα抗体)を腹腔内投与して移植4週後に安楽死させ、腫瘍移植脛骨のレントゲン的評価及び組織学的抗腫瘍効果を検討する。 2)上記1マウスの肺の転移結節数を肉眼的、組織学的に評価し、転移抑制効果を検討する。 3)上記1、2の腫瘍及び肺転移組織においてTNFα、IL-1、6、8の発現およびその受容体の発現状態について免疫組織学的にて検討する
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