2012 Fiscal Year Research-status Report
腕神経叢引き抜き損傷に対する前処理自家神経を用いた神経根再埋め込み法の研究
Project/Area Number |
24592232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 壮一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70592484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿木 良介 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20314198)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腕神経叢損傷 / 脊髄損傷 / 神経再生 / 神経移植 / 運動神経 |
Research Abstract |
腕神経叢引き抜き損傷に対する新しい治療法として、神経根再埋め込み法が臨床例でも報告されているが、現行の外科的治療法を超える方法ではなかった。その原因の一つに埋め込んだ神経内へと伸張する軸索数が少ないことがあげられる。そこで、埋め込んだ神経内へと伸張する軸索数を増やすため、脊髄と末梢神経間に橋渡し移植する自家神経に前処理を行う方法を研究している。 平成24年度研究計画に掲げた主要5項目は、1)実験の対象、2)ラット腕神経叢引き抜きモデルの作製および自家神経の採取、3)自家神経の前処理、4)前処理自家神経の移植、5) 移植した前処理自家神経の軸索誘導能、再生能の評価であった。1)、2)は予定通り行い、腕神経叢引き抜き損傷モデルを作成すると同時に自家神経を採取し、1週間後に採取した自家神経を橋渡し移植して、脊髄内に再埋め込みするラットのモデルを試作した。その結果、検討の上、2)に一部変更を加えることとなった。具体的には、採取する神経に腓腹神経を予定していたが、より簡便な隣接する第5頚髄神経あるいは第7頚髄神経を使用することに変更した。3)については、有効な前処理法を現在検討中である。4)、5)については、まず、予定通りラット腕神経叢の第6頚髄神経引き抜き損傷モデルを作成し、その1週後に自家神経を引き抜かれた神経と脊髄間に移植した。このモデルを試作し、8週後に安楽死させて灌流固定を行い、標本の作製法および評価法を現在検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、橋渡し自家神経移植を併用した引き抜き神経根再埋め込みラットモデルを作成し、評価法および検証する薬剤を模索している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究により自家神経のドナーとして、腓腹神経ではなく、隣接する第5頚髄神経あるいは第7頚髄神経を使用することに変更した。 本年度は、移植神経の前処理法を何種類か行い、前処理を行わない群との組織形態学的比較、評価を引き続き進める予定である。 また、当初の平成25年度の計画である以下の項目も開始予定である。 1)前処理自家神経移植を橋渡し移植した神経根再埋め込みモデルの長期成績の評価前年度の実験系より有効と考えられた前処理を行った自家神経を同様に橋渡し移植し、4~6ヶ月後に灌流固定し、電気生理学的、組織形態学的に評価する。 2)再生神経の評価(1)電気生理学的評価;腹腔内麻酔下に、電気生理検査を行う。具体的には、Su Jiangらの方法を参考に、再埋め込み法を行った左側とは対側の右側頭頂部を一部開頭後、硬膜を切開しM1(Bregmaの前方5ミリから後方1ミリまでの間で正中より0.5~4ミリの間)と呼ばれる大脳部位を展開する(Microsurgery 2010)。このM1部を電気刺激し、上腕二頭筋の活動電位を計測、比較検討する。(2)組織形態学的評価の継続。前年度と同様に脊髄前角細胞数や再生軸索の検討を行うと同時に、トレーサーを用いた再生軸索の評価、エポン包埋した移植神経横断面で再生軸索の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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