2014 Fiscal Year Annual Research Report
腕神経叢引き抜き損傷に対する前処理自家神経を用いた神経根再埋め込み法の研究
Project/Area Number |
24592232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 壮一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70592484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿木 良介 近畿大学, 医学部, 教授 (20314198)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腕神経叢損傷 / 脊髄損傷 / 神経再生 / 神経移植 / 運動神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、移植神経に対する前処理方法の検討をin vitroで脊髄器官培養を利用して行う実験系の作成を試みた(参考文献;Vyas A et al. Exp Neurol, 223:112-8, 2010)。これは、生後数日のラットの脊髄横断切片を培養液に浸したフィルター上で培養する方法で、脊髄運動神経の軸索伸長能をin vitroで検証することが可能となる。この実験系が実現できれば非常に手間のかかるラットモデルの作成数を減らせると考えていたが、脊髄切片内の運動神経細胞より伸張する軸索が十分に得られず、このモデルの作成は断念した。 再び、ラットモデルでの実験を再開した。ラット第6頚髄神経根引き抜き損傷モデルを作製し、同時に第5神経根を鋭的に採取、採取した神経根をそのままシュワン細胞用培地に浸し、37度、5%CO2の環境下で1週間培養した。1週後,培養液に浸した自家神経を引き抜かれた神経近位端とC6脊髄髄節側方の間に橋渡し移植した。移植後8週でラットを灌流固定し、移植神経およびその末梢1cmを採取、組織学的評価を施行した。再生軸索数の増加を促進するため、1週間培養する培地に添加薬剤を加えたが、エリスロポイエチンの添加により移植神経内を再生する軸索数はわずかに増加したが、差はわずかであった。現在、レスベラトロール(ポリフェノール)の添加により、再生軸索数の有意な増加を確認したが、まだ検体数が少なく今後引き続き検討を要する。 腕神経叢引き抜き損傷に対する新しい治療法としての脊髄への神経根再移植法は臨床例も報告されているが、現行の外科的治療法を超える方法ではなかった。その原因の一つに再移植した神経内へと伸張する軸索数が少ないことがあげられる。引き抜かれた神経根と脊髄髄節間に橋渡し移植する自家神経に薬剤による前処理を加えることにより移植神経内を再生する軸索数を増加させることは可能と考えられた。
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Research Products
(3 results)