2012 Fiscal Year Research-status Report
新規マウス軟部肉腫高肺転移株の樹立と肺転移再現動物モデルの開発
Project/Area Number |
24592233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中 紀文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90601964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 秀樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191558)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 実験動物モデル |
Research Abstract |
骨軟部肉腫の予後は転移病巣によって左右され,現在でも悪性骨腫瘍の約30%,悪性軟部腫瘍の約半数の症例は,その経過中に肺転移を生じ不幸な転帰を辿る.我々が樹立したマウス骨肉腫細胞株LM8は悪性骨腫瘍の肺転移過程を再現し研究材料として高い評価を得ているが,軟部肉腫の肺転移再現動物モデルはなく,研究の遅れが著しい.本研究の目的は世界に例のないマウス軟部肉腫高肺転移株の樹立と肺転移再現動物モデルの構築を行い,肉腫肺転移機構を解明することである. 研究実施計画1. 「後期肺転移能を高めたマウス軟部肉腫細胞株TR6BC1-LMLの樹立」において,C3Hに自然発生した神経性軟部腫瘍TR6BC1を用い,尾静注→肺転移巣形成→in vitro 細胞培養→再度尾静注の操作を2サイクル繰り返し,TR6BC1-LMLを樹立した.2次元培養下で長紡錘形の形態をとり単層性に緩徐に増殖する親株TR6BC1に比べ,本細胞株は小型で短紡錘形の細胞からなり重層性に増殖することが観察された.本細胞株はC3Hマウス尾静注により100%の確率で肺転移を形成することが確認された.当初計画した多段階からなる肺転移形成過程のうち,後半の血管外浸潤,肺組織への生着,増殖に長けた細胞株を樹立することができた.現在,作製された細胞株と親株で発現・機能解析を行い,後期肺転移能に関与する機能分子を探索中である. 研究実施計画2. 「前期肺転移能を高めたマウス軟部肉腫細胞株TR6BC1-LMEの樹立」においては,TR6BC1を107個C3Hマウスの皮下に注入し,腫瘍体積が2cm3を超えた時点でマウスを安楽死させ,心より無菌下に全血採血を行った.得られた血液を特殊培地で培養し,血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cell, CTC)の増殖を観察することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画1.については,計画通りに進行中である.後期肺転移能を高めたマウス軟部肉腫細胞株TR6BC1-LMLの樹立に成功した. 研究実施計画2.についてはCTC を回収・増幅する操作(原発巣形成→ CTCの採取→ in vitro 細胞培養)までは成し得たが,再度腫瘍細胞をマウス皮下に移植し,再度原発巣の形成を成立させる段階に至っていない.in vitro 細胞培養の段階で培養細胞中の腫瘍細胞の純度や培養条件,再接種の時期などを再検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
樹立に成功したTR6BC1-LMLを107個C3Hマウスの皮下に注入し,腫瘍体積が2cm3を超えた時点でマウスを安楽死させ,両肺を無菌下に摘出し肺表面に形成される転移結節を肉眼的あるいは実体顕微鏡下に観察する.すでに少数のマウスを用いた予備実験にて高い確率で肺転移結節が形成されることを確認した.今後マウスの実験対象数を増やし,安定的に観察可能な多数の肺転移結節が確認できれば,肺転移再現動物モデルの完成とみなす. 担癌マウス血中より回収したCTCの培養には成功している.今後,in vitro 細胞培養の条件を再検討するとともに,形態学的に腫瘍細胞の純度を上げin vivo造腫瘍形成能を高める.マウスでの腫瘍形成を確認後,CTC を回収・増幅する操作(原発巣形成→ CTCの採取→ in vitro 細胞培養→再度原発巣形成)を複数回(2-3回程度)繰り返し,多段階からなる肺転移形成過程のうち,前半の血管内浸潤および血液内生存に長けた細胞を分離・培養する.作製された細胞株と親株で発現・機能解析を行い,前期肺転移能に関与する機能分子を探索する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費 1,4000,000円のうち,1,150,000円を物品費(マウス購入費,飼育費,細胞培養諸経費)に用いる予定である.残り250,000円は情報収集のため旅費に用いる予定である. 間接経費として 420,000円を使用する予定である.
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Research Products
(3 results)