2012 Fiscal Year Research-status Report
miRNAを含むエクソソームを用いた骨腫瘍治療への応用
Project/Area Number |
24592235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下瀬 省二 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (30304439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 光夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
久保 忠彦 広島大学, 病院(医), 講師 (70397959)
味八木 茂 広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / microRNA / エクソソーム / 転移 |
Research Abstract |
我々は、微小胞であるエクソソームに包まれて細胞外に放出される分泌型の miRNA に注目し、ヒト骨肉腫細胞株の増殖を抑制または転移を抑制するような miRNAのエクソソームフォームを利用することで治療に応用することを目的としている。間葉系幹細胞へ合成 miRNA を各濃度で導入すると、その培養上清中にエクソソームフォームの目的 miRNA を濃度依存的に放出することを確認した。そして、この培養上清をヒト骨肉腫細胞株に添加するだけで容易に濃度依存的に導入することができた。このようにして導入された miRNA は、ヒト骨肉腫細胞株における増殖や細胞遊走を抑制することを明らかにした。骨肉腫細胞に対して有効な miRNA のエクソソームフォームは、in vitro レベルではあるが治療効果を示唆した。また、エクソソームの構成分子を siRNA によりノックダウンさせた細胞では、その培養上清中のエクソソームマーカー分子の発現を減少させたことから、エクソソームの分泌を低下させることを示した。このエクソソームの分泌抑制が、抗がん剤の耐性に関与するかどうかを調べているが明らかな結果はまだ得ていない。今後、エクソソームフォームの目的 miRNAを用いた骨肉腫モデルマウスへの局所注射もしくは静脈注射による骨肉腫治療効果を明らかにするとともに、骨肉腫細胞より分泌するエクソソームの動態を調べることで転移への関与などを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞へ目的合成 miRNA を導入すると、その培養上清中に分泌 miRNA を放出することを確認した。そして、この分泌 miRNAは、ヒト骨肉腫細胞株に添加するだけで導入することができ、増殖や細胞遊走を抑制することを明らかにすることができた。また、エクソソーム構成分子のノックダウンによりエクソソームの分泌が抑制されることを確認できたことで、研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、エクソソームフォームの目的 miRNAを用いた骨肉腫モデルマウスへの局所注射もしくは静脈注射による骨肉腫治療効果を明らかにするとともに、投与エクソソームや骨肉腫細胞より分泌するエクソソームの動態を調べることで転移への関与などを明らかにする予定である。また、エクソソームの分泌抑制が、抗がん剤の耐性や転移に関与するかどうかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、骨肉腫モデルマウスを用いてmiRNA過剰導入エクソソームの抗腫瘍や抗転移の効果をIn vivoイメージングにより抗腫瘍効果をモニターするとともに、病理組織学的評価を行う。また、骨肉腫より分泌したエクソソームの転移などへの関与を調べるためにその局在をIn vivo イメージングよって解析する。このように、免疫不全マウスにルシフェラーゼ発現ヒト骨肉腫細胞株を移植することによるモデルマウス作製とエクソソームの精製・投与、In vivo イメージングが主体の研究となり、そのため研究費の内訳は、実験用動物、エクソソーム抽出キット、In vivo イメージングに関する消耗品などに研究費の多くを割くことになる。また、昨年度、今年度の研究により得たデータを用いた研究成果の発表のための経費も計上する。
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