2014 Fiscal Year Research-status Report
DcR3とTL1Aによる滑膜細胞制御を介した関節リウマチ治療の検討
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24592261
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三浦 靖史 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (60346244)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、デコイレセプターDcR3とその特異的リガンドであるTL1Aを介したシグナル経路の、関節リウマチの滑膜炎における働きを明らかにして、アポトーシスを滑膜細胞に誘導することにより抗サイトカイン療法のような強い免疫抑制を伴わない、DcR3-TL1Aシグナル経路を標的とした新しいリウマチ治療法について基礎的検討を行うことを目標としている。 一昨年度、我々は、継代培養したRA滑膜細胞株4株を用いたDNAマイクロアレイ解析によりDcR3によりRA滑膜線維芽細胞で発現誘導あるいは抑制される遺伝子を、解析ソフトを用いて網羅的に検討した。昨年度は、特に発現に変動が認められた上位100遺伝子の中で、発現が誘導される遺伝子として、IL-12B(p40)、CDH2、CEP70に、抑制される遺伝子としてTPH1に着目して、RA滑膜線維芽細胞と対照群として変形性関節症OAの滑膜線維芽細胞を用いて、IL-12Bに関わる詳細な解析を行った。 その結果、RA滑膜においてDcR3はRA疾患特異的にIL-12Bの発現を細胞表面のTL1Aを受容体として誘導することを明らかにした。その成果は、科学雑誌International Journal of Molecular Medicine (32: 910-916, 2013)に「Decoy receptor 3 regulates the expression of various genes in rheumatoid arthritis synovial fibroblasts」のタイトルで論文として掲載された。本年度は、TPH1に着目して、RA滑膜線維芽細胞における機能の詳細な解析を行った。その結果、滑膜線維芽細胞におけるDcR3のTPH1抑制を介したセロトニンの発現制御について明らかににした。研究成果は、15th EULAR、16th APLAR、78th ACR、第58回日本リウマチ学会などの各学会で発表を行った。さらに、科学雑誌Molecular Medicine Reports (in press)に「Decoy receptor 3 regulates the expression of tryptophan hydroxylase 1 in rheumatoid synovial fibroblasts」のタイトルで論文として採用され掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DcR3刺激によってリウマチ滑膜線維芽細胞に発現制御される遺伝子としてTPH-1とIL-12Bの関節リウマチの病態形成における機能の検討が当初の予定通りに終了して、2本の論文がアクセプトされ、もう1本は投稿中のため、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Molecular Medicine Reportsにアクセプトされた論文の、投稿と別刷印刷に関わる費用がまだ請求されていない。また、当初参加予定であった2014年度のヨーロッパリウマチ学会に他の業務との重複により出席できず、参加を延期した。また、従来使用してきた抗TL1A抗体が発売中止となったために、別抗体の品質確認後に一部のブロッキング実験を実施予定となっている。これらの理由により、平成27年度への繰り越し額が生じた。これらの予算を用いて、平成27年度には、新たにCEP70遺伝子に関して、TNFα、IL1-βなどの炎症性サイトカイン、DcR3リコンビナント蛋白、抗TL1Aブロッキング抗体などで一定時間インキュベートしたRA滑膜線維芽細胞における発現プロフィールを、Real Time-PCR法、免疫組織染色法、Western blot法により解析して、候補分子のRAの病態への関与の詳細な状況について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
現在、1本の論文がアクセプトされ別の1本が投稿中であるが、投稿と別刷印刷に関わる費用がまだ請求されていない。また、当初参加予定であった2014年度のヨーロッパリウマチ学会に他の業務との重複により出席できなくなったため発表を2015年度の米国リウマチ学会に繰り延べた。さらに、従来使用してきた抗TL1A抗体が突如発売中止となって、別製品の品質確認を実施中であることから、一部のブロッキング実験が実施できていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2本の論文の投稿ならびに別刷印刷に関わる費用、投稿中の論文に関してはリバイスに際しての英文校正費用に当てる予定である。また、2015年度の米国リウマチ学会で研究内容を発表する予定としており、出張旅費として使用する予定である。さらに、抗TL1A抗体の同等性が確認でき次第抗体を購入して、残りのブロッキング実験を実施する予定である。 平成27年度には、新たにCEP70遺伝子に関して発現解析を広汎に行う予定であり、分子生物学実験に必要な試薬及びガラス器具等の消耗品の購入及び、関連学会における発表のための出張費及び印刷代などに研究費を充てる予定である。
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Research Products
(10 results)