2013 Fiscal Year Research-status Report
滑膜組織でのアクアポリン機能制御により関節水症の治療法の開発をめざす
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24592272
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大塚 隆信 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10185316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 祐子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90291583)
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
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Keywords | アクアポリン / 関節リウマチ / 変形性膝関節症 / 関節水症 / 線維芽細胞様滑膜細胞 |
Research Abstract |
患者の承諾を得て採取した各種疾患の滑膜からmRNAを抽出した。アクアポリン(AQP-1)、AQP-3、AQP-9の発現をreal time PCRにて測定し、滑膜でのAQPの発現と疾患特異性との相関を解析した。AQP-1、AQP-3、AQP-9ともに滑膜組織での発現が認められた。特にAQP-9は、変形性膝関節症と比べて関節リウマチ患者の滑膜組織にて高発現しており、関節水症をきたしていた症例での発現が高かった。 人工膝関節置換術のさいに患者の承諾を得て採取した滑膜を培養し、3から9代継代し形態学的に均一な線維芽細胞様滑膜培養細胞を得た。この滑膜培養細胞を用いて、炎症性サイトカイン刺激によるAQP familyの発現を検討したところ、TNF alfa刺激によりAQP-9の発現が有意に誘導された。関節リウマチでは関節腫脹に滑膜の増殖と関節水腫が関与している。関節リウマチの病態形成にはTNF alfaがkeyとなっていることから、TNF alfa刺激によりAQP-9が有意に発現が誘導されることは、病態悪化のサイクル解明の一助になると思われる。 関節水症の有効な治療法とそのメカニズムを調べるために、現在臨床で用いられている高分子ヒアルロン酸によるAQP-1、AQP-3、AQP-9の発現変化に注目して、滑膜培養細胞を用いた実験系を構築している。 すなわち滑膜培養細胞を高分子ヒアルロン酸にて前処理した後、炎症性サイトカイン(Interleukin-1、TNF alfaなど)にて刺激し,real time PCR法を用いて、AQP遺伝子の発現の誘導あるいは抑制を観察する。ヒアルロン酸関節内注射の有効性を分子生物学的に解明できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関節水症をきたす疾患として関節リウマチ、変形性膝関節症、細菌性関節炎、結晶誘発性関節炎などが挙げられる。関節リウマチ、変形性膝関節症患者の滑膜組織でのアクアポリンの遺伝子発現を観察することはできたが、細菌性関節炎、結晶誘発性関節炎の滑膜検体を入手することができず、本年度はこれらの疾患での解析は進んでいない。 滑膜培養細胞をもちいたin vitroの実験は概ね予定どおりに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に得られた結果を基にして、炎症性サイトカイン刺激による滑膜培養細胞の遺伝子レベルでの応答をさらに検証する。 臨床において関節水腫の治療のひとつにヒアルロン酸の関節内注射がある. ヒアルロン酸がアクアポリンファミリーの発現に関連のある因子か否かをin vitroにて観察する. 研究分担者の浅井は,神経生化学領域ではマウスastrocyteでのアクアポリン-4の発現プロファイルについて, 報告しており, ソルビトール, マンニトール処理にてアクアポリン-4の発現が誘導される[Arima H, Asai K et al. J Biol Chem 2003; 278:44525-44534]. この手法を用いて, 滑膜培養細胞をヒアルロン酸にて前処理した後, 炎症性サイトカイン(Interleukin-1, Tumor necrosis factor αなど)にて刺激し,real time PCR法を用いて,アクアポリン遺伝子の発現の誘導あるいは抑制を観察する.ヒアルロン酸関節内注射の有効性を分子生物学的に解明できる可能性がある。 平成26年度にマウスair pouchによる擬似関節腔でのアクアポリン遺伝子の発現の誘導を検討する予定であるので, 文献 [Murakami Y, et al. Arthritis Rheum 46:2504-13, 2002.]に基づきマウスair pouch作製を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度にマウスを使った実験を計画しており、予備実験のためマウス購入も計画していたが、平成25年度中に予備実験を行なうことができず、次年度使用額が生じた。 平成26年度にマウスair pouchによる擬似関節腔でのアクアポリン遺伝子の発現の誘導を検討する予定であるので, 文献 [Murakami Y, et al. Arthritis Rheum 46:2504-13, 2002.]に基づきマウスair pouch作製を試みる.
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[Journal Article] Cigarette smoke condensate extracts induce IL-1 beta production from rheumatoid arthritis patient-derived synoviocytes, but not osteoarthritis patient-derived synoviocytes, through aryl hydrocarbon receptor-dependent NF-kappa B activation and novel NF-kappa B sites.2013
Author(s)
Adachi M, Okamoto S, Chujyo S, Arakawa T, Yokoyama M, Yamada K, Hayashi A, Akita K, Takeno M, Ito S, Takii T, Waguri-Nagaya Y, Otsuka T, Hayakawa K, Miyazawa K, Onozaki K.
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Journal Title
J Interferon & Cytokine Research
Volume: 33
Pages: 297-307
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Gliostatin regulates vascular endothelial growth-factor production in human fibroblast-like synoviocytes.2014
Author(s)
Kawaguchi Y, Waguri-Nagaya Y, Tatematsu N, Kobayashi M, Goto H, Nozaki M, Ikuta K, Aoyama M, Asai K, Otsuka T.
Organizer
Annual European Congress Of Rheumatology
Place of Presentation
Le Palais des Congress de Paris (Paris, FRANCE)
Year and Date
20140611-20140614
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