2012 Fiscal Year Research-status Report
骨代謝全体における低分子量熱ショック蛋白質の役割の検討
Project/Area Number |
24592273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
福岡 宗良 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80285204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 潤 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70326156)
大塚 隆信 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10185316)
小澤 修 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90225417)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / HSP27 / 骨代謝 / リン酸化 / 骨粗鬆症 / VEGF / FGF-2 |
Research Abstract |
超高齢化社会を迎えた我が国では、高齢者の生活の質 (QOL) を維持し健康寿命を延ばすために運動器疾患の制御が現在重要な課題となっている。しかし、骨代謝に関する研究は今まで十分なされてきたとは言えず、骨粗鬆症、変形性関節症などの疾患制御のためには、その成因及び病態のさらなる解明が急務となっている。骨代謝における生体制御機構の解析という構想のなかで、特に機能細胞として骨代謝の中心的役割を果たす骨芽細胞における低分子量熱ショック蛋白質機能の分子機序の解明を主たる目的としている。 従来、ストレス負荷に対して耐性を獲得するための蛋白質と考えられていた熱ショック蛋白質(heat shock protein; 以下HSP)は、現在では、細胞内での蛋白質の合成、フォールディング、移動、再生などを介助する機能を有し、分子シャペロンと呼称されるようになっている。現在、HSPの分子量によって高分子量HSPと分子量が10-30kDaの低分子量HSPとの二つの群に大別されている。しかし、高分子量HSPの分子シャペロンとしての機能はよく知られているが、低分子量HSPの分子シャペロンとしての詳細は未だ明らかとされていない。 今回、低分子量熱ショックタンパク質の一つであるHSP27の分子機序を解明するため、HSP27を過剰発現させた骨芽細胞を用い、血管内皮増殖因子 (VEGF) 産生における役割を検討した。その結果、骨芽細胞において、リン酸化型HSP27は何ら影響しないが、非リン酸化型HSP27は塩基性線維芽細胞増殖因子 (FGF-2)によるVEGF産生を抑制することを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSP27の骨芽細胞における作用の分子機序の一端を明らかとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、骨芽細胞においてHSP27を過剰発現させた細胞及びHSP27をノックダウンさせた細胞を用い、種々の骨代謝調節因子に対する細胞の機能におけるHSP27の役割を検討する。 このような事実の積み重ねにより、HSP27の骨代謝における役割を明らかにしていき、骨粗鬆症などの骨代謝疾患に対する新たな治療標的を見出していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞実験施設としてクリーンベンチ、CO2インキュベーター、恒温振とう器等は既に稼働している設備を使用する。また、蛋白質発現解析に必要なイムノブロット装置および遺伝子発現解析に必要なPCR等も稼働している。さらに免疫組織学的検討に必要な施設(電子顕微鏡および免疫染色用設備)は医学部内共通研究施設を利用する。したがって、本研究経費の大半はHSP27の機能解析の細胞実験、蛋白質解析および遺伝子発現解析等の検討に要する消耗品費および試薬に充てる。
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