2012 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるSDF-1による関節破壊機序解明
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24592284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
神戸 克明 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70366326)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 病態 / SDF-1 / 生物学的製剤 / 骨関節破壊 / TNF-alpha / IL-6 |
Research Abstract |
RAの病態の場は主に関節の滑膜増殖にあるといわれているが、組織学的にみるとOAとの最も違う所見はTNF-α, MMP-3, CD68を表面マーカーとするマクロファージの増殖であることを我々は確認した。マクロファージより産生されるサイトカインの中で近年注目されているのがTNF-αであり、膜型TNF-αに結合する抗TNF-α抗体療法、すなわち生物学的製剤であるインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブがある。抗TNF-α抗体療法により治療した滑膜組織12例のTNF-α,IL-6, MMP-3, RANKL, CD4, CD8, CD20, CD68, MAP kinase (ERK, c-JNK, p38)の発現を免疫染色法にてMethotrexate治療10例と比較した結果、抗TNF-α抗体療法ではTNF-αの有意な抑制が認められた。ゴリムマブ使用した10例の滑膜組織ではMTX群(コントロール)と比較してCD68、CD4, CD8, CD20,c-JNKの抑制効果が有意に認められた。一方、Storomal cell drived factior 1はchemokineの1種でそのレセプターはG-coupled protein receptorに属する。CXCR4,CXCR5と並んでHIV co-receptorとして重要であり、エイズウイルスのT-cellへの感染に関与するレセプターである。我々はCXCR4が関節軟骨培養細胞に発現していることを発見し、そのligandであるSDF-1が関節滑膜培養細胞に発現していることを認めた。さらにRAの血清中にOAより有意に高いSDF-1濃度であることを認め、軟骨培養細胞にSDF-1添加にて軟骨細胞がMMP-13発現およびapotosisを起こすことを見出し報告した。ゴリムマブ使用滑膜組織のSDF-1発現抑制を確認し現在研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設で関節リウマチに対して使用した生物学的製剤910例のうち、infliximabを用いた388例中滑膜組織15例(抗TNF-α群)、平均年齢65.1歳、平均罹患期間13年、平均MTX使用量6.3mg/week, 平均ステロイド使用量2.7mg/day, 平均Disease acrtivity score (DAS28) 3.4のH.E.染色及び免疫染色を用いて、TNF-α,IL-6,MMP-3, CD4, CD8, CD20,CD68, RANKL, BrdU, stromal derived factor 1(SDF-1)の発現をFarahat MNらの方法に従い解析した。Control群、平均年齢64.5歳、平均罹患期間11年、平均MTX使用量6.7mg/week, 平均ステロイド使用量2.4mg/day, 平均DAS28 3.5の滑膜組織を用いた。その結果TNF-α, SDF-1の抑制は有意に認められ、IL-6, CD20の発現は有意に増強していた。このことはTNF-αとSDF-1が滑膜組織において相互に制御されている可能性がありin vitroの培養実験へと進めている。平成24年度の研究到達度はin vitro実験で滑膜組織培養が進行中であり、抗TNF-α療法におけるSDF-1の発現抑制が骨関節破壊にいかに関与しているかを含め次年度の計画と同時進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
関節リウマチと変形性関節症の滑膜線維芽細胞(SF)および滑膜マクロファージ(SM)を初代培養する。SF細胞のSDF-1、CXCR4発現をmRNAおよびWestern blotting法にて解析しRAにてSDF-1の増加を調べる。TNF-α,IL-6産生についてELISAを用いて調べ、SDF-1および抗SDF-1抗体にて抑制実験を行う。SDF-1/CXCR4を介する細胞内シグナル伝達系を解明するためSDF-1添加SM細胞におけるprotein kinase A, C, tyrosine kinase inhibitorを用いてサイトカインの抑制実験を行う。滑膜マクロファージ(SM)のSFD-1/CXCR4シグナルを介した破骨細胞への分化能を調べるため、SM細胞にSDF-1を添加し形態学的に多核組織球を形成すること、TRAP染色陽性であることを確認する。さらにRA滑膜組織が骨関節に付着してpunnusを形成し骨関節破壊を起こしている組織より、多核組織球にSFD-1/CXCR4の発現を免疫組織学的に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SDF-1を蛋白レベル(Western blotting)で解析するため電気泳動装置とWB用抗SDF-1抗体、抗CXCR4抗体、2次抗体、Bufffer試薬、細胞培養medium、ピペット、PCR用mRNA抽出キット、cDNA作製キット、marker、免疫染色用試薬、免疫染色受託研究、論文学会報告準備における印刷費、論文校閲費、国内および海外学会出張費、研究打ち合わせの謝礼に次年度の研究費の使用を予定している。
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Research Products
(6 results)