2012 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬による術後認知機能低下の機序に関する研究
Project/Area Number |
24592292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀口 剛 秋田大学, 医学部, 准教授 (70221570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 公一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00091801)
真崎 容子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30125744)
安部 恭子 秋田大学, 医学部, 助教 (30311575)
西川 俊昭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50156048)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
1、認知機能を電気生理学的に示すため、興奮性シナプス後電位(EPSP)の長期増強(LTP)の測定を行った。コントロール(無麻酔)およびセボフルラン麻酔2日後のラットの脳を摘出し以下のことを行った。海馬スライスを29-30℃で95%O2, 5%CO2でバブリングする。ベースラインの反応を10秒毎にとる。最高値の40%のEPSPスロープとなるよう刺激強度を調節する。LTPは歯状回の分子層に2極のタングステン電極を通して100Hzの刺激により得る。シーターバースト刺激前後のフィールドEPSPとそれぞれのEPSPから求めた振幅とスロープの時系列変化をパソコンで表示する。セボフルラン麻酔2日後のラットではコントロールラットに比べ、LTP induction が抑制されていることが数例示されたが、まだ技術的な困難さのためばらつきが大きい。 2、高齢ラットが存在するため、高齢ラットにセボフルラン麻酔し、水迷路を用いた空間認知機能を見た。最近、高齢ラットにセボフルラン麻酔を行っても空間認知機能は障害されない(1, 4, 12週後)との報告があった (Anesthesiology 117: 1091-1101, 2012)。しかし我々が麻酔後1週間の認知機能を見た研究ではyoung adultでは認知機能低下は見られなかったが高齢ラットでは明らかに認知機能低下が見られ、Anesthesiology誌の結果と異なっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1、興奮性シナプス後電位(EPSP)の長期増強(LTP)の測定技術がまだ安定しておらず、データのばらつきが大きい。 2、学習・記憶行動の評価のための恐怖条件付け文脈学習のコンピュータ処理をまだ十分習得していない。
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Strategy for Future Research Activity |
学習・記憶行動の評価のための恐怖条件付け文脈学習のコンピュータ処理を十分習得して以下手順で、低濃度の吸入麻酔そのもの、および浅麻酔下での手術侵襲が認知機能低下を長期化させることを明らかにしたい。 若年ラット(生後3カ月前後)を、1)対照群(麻酔、手術なし)、2)浅麻酔群(空気-酸素-1%セボフルン)、3)深麻酔群(空気-酸素-2.5%セボフルラン)、4)「浅麻酔+手術」群(空気-酸素-1%セボフルランに+手術)、5)「深麻酔+手術」群(空気-酸素-2.5%セボフルラン+手術)、の5群に分ける。「浅麻酔群」はチャンバー内で麻酔ガスモニターを使用しながら2時間麻酔。深麻酔群はマスクで2時間麻酔。心電図を装着し、麻酔中体温を37.0±0.5℃に維持するよう保温する。「全身麻酔+手術」群はチャンバー内で深い麻酔とした後、気管挿管後目的の濃度にし、筋弛緩薬を投与し人工呼吸する。尾動脈にカニュレーションし血圧測定。全身麻酔中に局所麻酔後、脛骨骨折させピンニングを行う。手術操作はHarry LS, et al. J Orthop Res 26: 1238-44, 2008に準ずる。麻酔導入後および覚醒前に動脈血ガス分析、血糖、血中ヘモグロビン濃度測定(虚血、糖尿病、貧血等を否定するため)その他は全身麻酔の群と同様とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全身麻酔中に局所麻酔後、脛骨骨折させピンニングを行う。このためピンニング用ドリルを請求し、手術侵襲が認知機能低下を長期化させるか否かを明らかにしたい。また、ラット、セボフルラン、海馬スライス用バッファーは研究期間を通して必要なため請求したい。
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