2014 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬による術後認知機能低下の機序に関する研究
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24592292
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀口 剛 秋田大学, 医学部, 准教授 (70221570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 公一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00091801) [Withdrawn]
真崎 容子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30125744)
安部 恭子 秋田大学, 医学部, 助教 (30311575)
西川 俊昭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50156048)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 術後認知機能障害 / 高齢者 / 手術 / 吸入麻酔 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者では全身麻酔後に認知機能低下が長期間に及ぶが、その原因が麻酔薬によるものか手術侵襲によるものか明らかではない。そこで若年ラット(生後9週)と高齢ラット(20-26カ月)をそれぞれ3群(対照群、手術を行わない全身麻酔群、全身麻酔下に手術を行う群)に分けた。 対照群以外のラットは33%酸素下に2%のセボフルランを1時間吸入させた。尻動脈にカニュレーションして連続的に血圧、心拍数をモニターした。全身麻酔下の手術は脾臓摘出術を行った。対照群は何も処置しなかった。全身麻酔後あるいは全身麻酔下に手術を行った後、2日目から8日目までモーリスの水迷路で学習能力を測定した。 対照群では、若年ラットと高齢ラットともに日を追うごとに学習効果(島にたどり着くまでの時間の短縮)が見られ、若年ラットと高齢ラットに差が見られなかった。若年ラットにおいては、「対照群」、「手術を行わない全身麻酔群」、「全身麻酔下に手術を行う群」ともに、日を追うごとに学習効果が現れ3群間に差はみられなかった。一方、高齢ラットでは「手術を行わない全身麻酔群」、「全身麻酔+手術」群ともに7日間連続して学習させても、全く効果がみられなかった。 以上より、若年ラットでは全身麻酔のみでも手術侵襲が加わっても学習能力は落ちなかったが、高齢ラットでは全身麻酔のみでも手術侵襲が加わっても、全く学習効果が得られなかった。以上の結果から高齢者における認知機能低下の原因が、麻酔薬によるものか手術侵襲によるものか明らかとはならなかった。しかし、少なくとも麻酔薬が関与していることは言えると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脾臓摘出術を行うと、炎症・免疫系に様々な変化が起こる可能性があるため、炎症・免疫系に変化を与えない手術を選択し、手術方法を確立する必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
大腿骨を骨折しワイヤーを入れて治癒させる手術の方法が確立されたので、今後研究は進展するものと考えている。
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Causes of Carryover |
大腿骨を骨折しワイヤーを入れて治癒させる手術の方法が確立されなかったので、ラットの使用数が予定より減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大腿骨を骨折しワイヤーを入れて治癒させる手術の方法が確立したため、この実験を遂行する。
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