2015 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬による術後認知機能低下の機序に関する研究
Project/Area Number |
24592292
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀口 剛 秋田大学, 医学部, 准教授 (70221570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 公一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00091801) [Withdrawn]
真崎 容子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30125744)
安部 恭子 秋田大学, 医学部, 助教 (30311575)
西川 俊昭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50156048)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 術後認知機能 / 血管新生 / セボフルラン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度の研究でセボフルラン麻酔直後に大脳皮質、海馬に置いて血管周囲微細構造の顕著な変化、及び変性した細胞が認められた。今年度はセボフルラン投与7日後における脳の微細構造につい調べ、セボフルラン麻酔直後と比較した。 【方法】SDラット(9週齢、n=3)を2%セボフルランで2時間麻酔した。7日後ペントバルビタール麻酔下にて0.1Mカコジル酸バッファー(pH7.4)で灌流し、2%グルタルアルデヒド/0.1Mカコジル酸バッファーにて灌流固定した。脳の大脳皮質および海馬を細切し、透過電子顕微鏡用試料を作製後、日立H-7650型電顕を用いて観察した。セボフルランを投与しないラットの脳をシャム群(n=3)とした。 【結果】セボフルラン投与7日後の大脳皮質および海馬において、投与直後と同様、重度の核萎縮を伴う変性した神経細胞が確認された。また、血管壁基底膜とグリア細胞間隙に細胞質内に各種の電子密度の顆粒を含むFGP細胞 (Fluorescent Granular Perithelial cell)も観察された。7日後の両領域では更に、大型の核と豊富な細胞小器官を含む内皮細胞から構成される、直径数ミクロンの末梢血管が多数観察された。これらの血管は、内腔が狭小であるという新生血管の構造的特徴を有していた。血管新生は障害された血管周囲細胞の内側でも確認された。シャム群ではこれらの神経細胞変性および血管新生は観察されなかった。 【結語】セボフルラン投与7日後の大脳皮質および海馬において、セボフルラン投与直後と同様に核萎縮を伴う変性した神経細胞が認められた。血管新生は、セボフルランにより変性したこれらの細胞を修復させるために起こったものと推測した。
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