2013 Fiscal Year Research-status Report
脳が虚血耐性を獲得するための分子基盤の解明~一過性全脳虚血モデルによる検討~
Project/Area Number |
24592314
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中島 崇行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30333644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 重雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (10280067)
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Keywords | 虚血耐性 / 脳虚血 / 海馬 / ラット / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
本研究で計画している主な項目は、①「ラットを用いて、弱い虚血負荷後の海馬で発現量が変化するタンパク質をプロテオーム解析法により同定すること。」、②「胎仔海馬初代培養細胞への遺伝子導入により同定したタンパク質の発現量変化が虚血に対して神経保護効果を発揮するかを検討すること。」である。 本申請者はこれまで神経細胞に傷害をおよぼさない3分虚血負荷ラットと偽手術処置ラットから海馬組織を採取し、4種類のホモジネートバッファー、すなわち、①低張液バッファー、②高濃度NaCl含有バッファー、③界面活性剤の一種であるNP-40含有バッファー、④NP-40ともう一つの界面活性剤であるSDSの両方を含むバッファーを用いてタンパク質抽出溶液を作製した。①低張液バッファーで抽出した溶液中には主に細胞質のタンパク質が、②高濃度NaCl含有バッファーで抽出した溶液中には主に核タンパク質が、③NP-40含有バッファーで抽出した溶液中には主に小胞体、ミトコンドリアに局在するタンパク質が、④NP-40とSDSの両方を含むバッファーで抽出した溶液中には主に、細胞膜とミトコンドリアに局在するタンパク質が豊富に含まれていることが確認された。現在、低張液バッファー、NP-40含有バッファー、高濃度NaCl含有バッファーで抽出した溶液をサンプルとして用いて二次元電気泳動を行っている。その結果、transitional endoplasmic reticulum ATPase、mitochondrial aconitase、phosphoglyserate kinaseなどの代謝に関係するタンパク質の発現量が3分虚血負荷ラット由来のサンプル中で減少していることを示唆する結果を得ている。一方で、3分虚血負荷ラット由来のサンプル中で発現量が増加するタンパク質はまだ見つけられていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は、①低張液バッファー、②高濃度NaCl含有バッファー、③NP-40含有バッファー、④NP-40とSDSの両方を含むバッファーを用いて作製したサンプル溶液を用いて二次元電気泳動を行わなければならないが、現在まで、①低張液バッファー、②高濃度NaCl含有バッファー、③NP-40含有バッファーで抽出したサンプルを用いた二次元電気泳動の解析までしか進んでいない。進捗状況が遅れている最大の理由は二次元電気泳動によるタンパク質スポットの分離が難しいという点にある。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元電気泳動の解析をこのまま進める。また、現在までに3分虚血負荷ラット由来のサンプルと偽手術処置ラット由来のサンプル間で発現量に差があると思われるタンパク質について、二次元電気泳動よりも解析における信頼度の高いウェスタンブロット解析を行って発現量の差を慎重に解析する。また、タンパク質の発現量変化がどの細胞で起こっているのかを免疫染色で調べる。さらに、発現量が変化したタンパク質の虚血における機能的意義について遺伝子機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二次元電気泳動の解析が予定通り進んでいないことにより、計画していた免疫染色およびウェスタンブロット解析、選定したタンパク質の遺伝子導入による神経保護効果の解析が進んでいなことが理由である。 今年度実施する二次元電気泳動、免疫染色およびウェスタンブロット解析、選定したタンパク質の遺伝子導入による神経保護効果の解析のための試薬購入に使用する。
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Research Products
(2 results)