2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
上園 晶一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10291676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甫母 章太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60385359)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋弛緩薬 / 中枢神経 |
Research Abstract |
本研究の初年度の目標は、筋弛緩薬の脳内投与量を決定することであった。以前行った研究より、ラットにおけるロクロニウムのED95は1mg/kgであるという結果が得られているので、その量の1/10-1/1000程度である1-100mcg/kgを脳内投与してみるのが妥当であると考えた。ただ、脳内投与に適したpHでの安定性を考えた場合、パンクロ二ウムのほうがpHが高くても安定しているので、それから始めるほうがよいと考えた。過去の報告によると、静注でのパンクロ二ウムのED95は0.1mg/kg前後であり、ロクロニウムの約10倍の力価である。したがって、パンクロニウムの脳内投与量は、ロクロニウムの10分の1量である0.1-10mcg/kg だろうと推定できる。この量であれば、脳内投与量も多くならず、脳内投与に適している。 以上のことを考慮して、現在、まずパンクロニウムにおける脳内投与量に関する用量反応曲線を描いているところである。この曲線をもとに、数回反復投与しても蓄積効果による神経筋遮断作用が生じない用量を確認しつつある。 この用量反応曲線の構築は、次年度以降の実験の際の大事な基礎データになるので、ある程度のシグモイド曲線になるように、症例数を増やしている。また、これらの実験を継続することで、テクニカルな問題も解決されてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の目標は、新たな動物実験系を実験室内に構築することである。この実験では、坐骨神経の電気刺激による神経筋遮断効果の測定と、脳室内ガイドカニューラからの薬剤投与が鍵となる。神経筋遮断効果の測定については、これまでの実験の蓄積から問題なく行えるが、後者の実験については、ある程度の経験が必要であると考える。ところが、当該年度、圧測定系の設置、脳定位固定装置などの購入に予想外に時間がかかり、実験環境が整ったのが、当該年度半年以上後だったため、実験開始時期が予定よりも遅くなった。脳内投与量の至適量の設定には、さほど時間はかからないと考えられるので、進行状況が予定よりも極端に遅れているということにはならないと予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に繰越になった研究費は、当該年度に行う予定であった、脳室投与量決定のための実験を随時行なっていく予定である。ラットの必要数は、約50匹程度であり、繰越研究費で十分に賄える範囲にある。 今後は、(1)吸入麻酔薬の最小肺胞濃度の測定、ならびに(2)筋弛緩薬緩徐静脈内投与後の血中濃度および脳脊髄液内濃度の測定、を当初の研究計画にそって行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、上記した研究計画を遂行するため、ラットの購入・飼育ならびに薬品、その他の消耗品の購入に当てられる。研究計画の変更はなく、当初予定されていた経費を計上する予定である。
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